人材派遣でのトラブルは「求人広告がウソ」だけではない~よくある違法行為
法律無視もあれば、法の抜け穴を狙ったものもある
法律無視・違反のパターン
人材派遣のトラブルで多いのは、「求人広告の仕事内容と実際の仕事内容が違う」、「契約更新しないといってあったのに、勝手に期間を延長された」「体を壊しているのに、やめさせてもらえない」あたりです。
この程度では、労基署(労働基準監督署)は取り締まりに動いてくれないのが現実です。
ですが、ときどきは取り締まりをし、マスコミなどで騒がれる案件もあります。二重派遣や偽装派遣(偽装請負)です。
「二重派遣」とは、派遣会社と派遣労働者の間に、もう一社、派遣会社が入るパターンです。さらにたくさんの派遣会社が間に挟まり、「四重派遣」「五重派遣」になっていた場合さえあります。
「請負」とは、その部分の仕事内容をほかの業者に全部任せ、発注主は仕事の結果だけを受け取る形をいいます。ビルや橋の建築をイメージすればいいでしょう。
「請負」といいながら、実際は発注主がその仕事を仕切っている形を「偽装派遣(偽装請負)」といいます。
法律の抜け穴を狙ったパターン
修学旅行など旅行の付き添いの看護師(ツアーナース)を、「請負」として使う……というパターンもあります。
「個人が、その修学旅行で、看護師がやるような業務を全部自分の判断でやり、責任も負う」ということです。実際には、旅行会社や学校側の指示で動いているはずです。内容からして、請負になるはずがありません。
かつては、「日雇い派遣」という名前で募集されていました。ですが、労働者派遣法が改正され、期間が1か月未満の派遣は禁止されたのです。
そこで、やっている内容は全く変わらないのに、「これは請負である」ということにしたのです。
また、「都会の生活に疲れた看護師さん、南の島で仕事をしませんか」といった言葉で募集されている、「離島応援ナース」といった募集も要注意です。
看護師の人材派遣は原則禁止です。ただし、「派遣期間終了後に、直接雇用(正社員、パート・アルバイト)への切り替えを検討する」という「紹介予定派遣」ならば、例外としてOKなのです。
実は、書類上はその扱いになっているのです。これは派遣会社だけではなく、派遣先の病院・診療所側も、「とにかく目先の人手不足を解消したい」と承知しているかもしれません。
ですが、募集広告などには「紹介予定派遣」の言葉はまずは見られません。おそらくは、応募者のほとんどの人はそれが紹介予定派遣であることには気がつかず、「半年以内の短期の仕事の募集」ぐらいにしか思っていないでしょう。
バカを見るのは派遣さん
二重派遣の場合、「なにもやっていないのに中間マージンをとる業者が増える」というのはすぐに思いあたるでしょう。
派遣先が出した派遣料金がどんどん減っていきます。
派遣先が出した派遣料金がどんどん減っていきます。
それ以外にも、「トラブルが起きた時に、どこが責任を取り、フォローをするのかがわからない」と問題を抱えることになります。
偽装請負はトラブルが起きなければ、そうは問題ないかもしれません。ですが、トラブルになった時の難しさは、人材派遣以上です。人材派遣でも難しいのですが……
業者らはいずれも責任逃れをすることになります。何しろ、「その仕事に関しては請負業者側が全部責任を負っていた」という形なのです。仕事中の事故でその人が亡くなっても、「安全管理も請け負った側の業者がやるべき仕事だった」ということになってしまいます。
請負業者側もすんなり認めず、責任のなすりつけ合いになることも多いのです。
そして、実際に偽装請負が発覚するのは多くの場合、働いている人が事故で重傷を負ったり死亡したことがきっかけになっているのです。
ツアーナースの場合は、仕事中に自分がケガをしても、業者も学校も責任がないことになってしまいます。それどろか、もし子供がケガや病気にでもなったら、「全責任を負っていた」として、賠償請求は自分ひとりにかかってくる可能性もあるのです。
10.よくある違法行為 |
それでも人材派遣会社を利用するなら 「求人内容と実際の仕事内容が違う」などのトラブルは、「どうせその程度のもの」と割り切る あまりにひどい派遣先に当たったら、法律を使って堂々と退職する。基本となる法律は目を通しておく 非正規(パート・アルバイト、派遣社員)から正社員になるには 非正規雇用は長くは続けない。20代で一度は正社員とならないと、新人教育を受ける機会を逃す 就職サポートは担当者次第。業者の評判がいい悪いには関係なく、ハローワークまで含めて、信頼できそうな担当者を探す |
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