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ウソ求人の張本人。「来させてしまえばこっちのもの」?
H次長は派遣先の指揮命令者で、50代です。「これほど品性の卑しい人間は久々に見た」ということで私にとって特筆すべき人間です。
が、ここではそれは抑えて、労働者派遣のシステムとして問題のあった行動だけを採り上げます。
【「指揮命令者」は派遣先での直接の上司】
労働者派遣(人材派遣)は、「派遣元(人材派遣会社)」「派遣先」「派遣労働者」の三者で成り立ちます。
このうち「派遣先」には「派遣先責任者」と「指揮命令者」が置かれます。
「派遣先責任者」は派遣元とのやり取りの窓口となり、職場となる自分のところで、労働者派遣法・労働基準法が守られるようにするのが役割です。
「指揮命令者」はその名の通り、実際上の仕事の指示をします。細かいことを無視していえば、「派遣先での直接の上司」と考えていいでしょう。
人材派遣を役割分担で表せば以上の5者。ただし、派遣先責任者と 指揮命令者は一人が兼ねても問題はない。派遣元の営業担当者は
特に規定があるわけではなく、実態としてそうなっている。
折りたたむ
【人材派遣会社の担当者が同行の時は、ウソの作業内容を見せる】
派遣先での「面談」の際、工場内を一通り案内してくれたのは、この指揮命令者であるH次長でした。
地方にある社員二百数十人の工場です。私が配置されたのは、NC加工といって、家電製品などの中にある電子基板のその「基板」そのものに部品が取り付けられるように穴を空ける部署でした。
求人広告にあったのは「未経験者可。簡単な目視による検査」でした。
で、その「検査台」に来て、「最初はここをやってもらう」とのこと。ここでは穴の位置を記したシートを基板に重ねて、位置がずれていないか、空けたはずの穴がふさがっていないかを肉眼でチェックします。。
後で、「“最初は”って、どういうことやろ? 最後までと違うんですか」と、同行していた人材派遣者の担当者に言いました。この時は言葉じりをとらえて、軽口を言ったぐらいのつもりでした。
【実際の作業では、ズボンが血糊で固まる】
が、数日して本格的に配置されたのは、「機械による検査」でした。が、ほとんどが完全な力仕事です。
基板を一枚一枚、検査機に乗せるぐらいはいいのです。
20枚か30枚たまると、ベルトをかける装置のところまで運びます。ベルトがかかると、それをフォークリフト用のパレットの上に並べます。
基板はまだ切り分けられる前で、大小ありますが、座布団ぐらいの大きさです。ほぼ全面に銅が張られています。一束は20キロ以上になるでしょう。運ぶのは人力です。何度もスネに当てました。大けがにまではいきませんが、常に靴下や作業ズボンが血糊で固まっていました。
求人広告の詐欺にかかった状況です。
が、「目視による検査は目がやたら疲れそう」「体を動かす方が、気分がスッキリするだろう」といった理由から、派遣先の総務部に「このままで構わないが、人材派遣会社に話を通してくれ」と私から申し出ました。
(ちなみに、これは労働者派遣のルールでは派遣先ではなく、派遣元に話すべきことです。私も分かっていませんでした)
【「どの作業だけやっていればいいものではない」と、労働者派遣法無視を宣言】
で、このやり取りの後、H次長から「どの作業だけやっていればいいというものではない」と吐き捨てるように言われました。
先の「最初はここを……」というのと併せて考えると、求人を出した当初から「なんでも便利に使ってやろう」ということだったのは間違いないでしょう。
で、この場合の問題点を上げると、「作業内容が分かっていれば、応募する人間はいない」「時給と作業の内容が合っていない」などなどです。ちなみに時給は1,000円です。
「ウソの求人でとにかく来させる。来させてしまえばこっちのもの」といったところでしょう。
ちなみに、私より後に来た20代の人は、初日に「お昼行ってきます」といって、そのまま帰ってきませんでした。最短時間での“バックレ”でした。
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