労働者派遣法違反、でも当たり前にやっている~事前面接(面談、職場訪問、見学)

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事前面接をやると、人材派遣会社の役割はなくなり、中間マージンをとる理由はなくなるのだが……


派遣労働の世界で、あまりに当たり前になっていて、それが法律違反であることすら分からないようになっていることに「事前面接」があります。

本当は受け派遣先は合否の判断はしてはいけない


派遣労働の契約は、ひとつは受け入れ企業(派遣先)と、人材派遣会社の間の「派遣契約」。もうひとつは人材派遣会社と派遣労働者の間の「労働契約」です。

受け入れ企業と労働者の間には契約はありません。それで、いくら実際の職場になるところでも、「この人はお断り」とはいえません。派遣契約がある限り、人材派遣会社が選んだ人を受け入れなければなりません。

「ほかの人と代えてくれ」とか、「このAさんではなく、今回は予定になかったBさんの方にしてくれ」ともいえません。

人材派遣会社の担当者も、「受け入れ先企業の面接」の話題


そうはならないように、決められているのが「事前面接」の禁止です。

「事前」という言葉が紛らわしいので、単純に「受け入れ先企業の面接が禁止されている」と考えた方がいいでしょう。

また、同じ趣旨から、履歴書などを受け入れ先企業に見せてもいけません。

が、実態としては行われています。

例えば私の時も、人材派遣会社の面接の段階で、「いかにして受け入れ先企業の面接をクリアするか」といった話がされていました。

これも多少は違反の意識が残っている場合は「面談」や「顔合わせ」と言い換えるようです。が、この時ははっきりと「先方の面接」などの言い方をしていました。

私が「五十歳という年齢を気にしている」と知ると、「毎日欠かさず、運動して汗を流していることにしましょう」と提案してくれたぐらいです。

これも、受け入れ先企業が合否の判断をすることが前提になっている証拠です。

実際に受け入れ先企業での「面接」では、「毎日欠かさず……」という話をしました。

事前の履歴書チェックもしたらしい


また、別の人材派遣会社を使った時です。職場も見て、その持ち場での同僚となる同じ派遣社員との顔合わせも済んだ。あとは先方の返事待ち……というところで、ひっくり返されました。

ダメもとで担当者に「何が問題になったのか」と食い下がりました。が、「お話しできません」の一点張りでした。

そもそも「先方の返事待ち」ということ自体が、すでにおかしいのです。この間に受け入れ先の社員とは全く面談はしていません。「受け入れ先の履歴書のチェックがあった」と想像しています。

事前面接が禁止されている理由


この事前面接を禁止にすることは、「労働者派遣事業」と「労働者供給事業」の違いを出すための大きな要素のはずでした。

労働者供給事業は別名、「人入れ稼業」などといわれ江戸時代にはすでにあったものです。簡単に言えば、「自分のところに縛り付けてある人を、相手に貸し出す商売」です。

仕事先での強制労働や、業者による中間搾取がひどいため、戦後は禁止されていました。

事前面接をし、派遣先が採用・不採用に口を挟んでしまうと、「労働者派遣では、雇用主はあくまで人材派遣会社」というスタイルが崩れてしまうのです。

「人材派遣会社が間に挟まっている意味はなくなる。したがって、派遣労働者が働き続けている間ずっと、人材派遣会社が中間マージンをとる理由がなくなる」という言い方もできるでしょう。

もはや、やっていることは戦前と変わりませんので、実態としてはすでに労働者供給事業になっていると考えていいでしょう。

事前面接はあることを前提にするのが現実的


厚労省の派遣労働者向けのパンフにも「派遣開始前に面接を行うこと、履歴書を送付することは禁止されています」と書かれています。

が、罰則らしい罰則もありませんので、事前面接は横行しています。せいぜいが「これは違反だ」と気がついているところが、「面接」という言葉を避けて、「面談」「職場訪問」「見学」などと言い換えている程度です。

個人として、これを正す方法はないでしょう。あったとしても、その労力に見合う見返りはないでしょう。

逆に、「採用・不採用は人材派遣会社が決定する」と建前の方を信じ込んで、受け入れ先の面接を軽視しないように気を付けるべきでしょう。

4.事前面接(面談、職場訪問、見学)
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