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10月, 2013の投稿を表示しています

テレビ局が人材派遣を兼業する理由②

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TOP 労働者側がどんどん不利になるわけ マスコミと人材派遣 テレビ局の人材派遣兼業② テレビ局には、外部スタッフの社員化で成功した例がある。が、忘れ去られているらしい テレビ局が人材派遣会社を持つことが何が問題か、図にして考えてみる。 一番はっきりと違いになっているのは、単なる下請けならば、制作スタッフの給料は制作会社が支払う。が、人材派遣の形をとると、名目上は子会社とはいえ、実態としてはテレビ局が支払うことになる。 テレビ局 下請け構造図 【番組制作会社で働いているのに、テレビ局が給料の額を決め、人事権も持つ】 つまり、「A君の基本給は20万円、Bさんは25万円」とか、「時間給を1,500円から、1,200円に下げる」というのは、テレビ局の方で決めることになる。 もちろん、単なる下請けの形でも、お金の出どころはテレビ局なのだから、そこから制作会社に手渡す分の増減が、制作スタッフの給料にも影響するだろう。それでも給料の額は制作会社が決めることができる。 しかも、労働者派遣法の定めでは、派遣先(制作会社)は派遣社員(制作スタッフ)の採用・不採用の判断はできない。雇用するかどうかの権限はあくまで、派遣元(テレビ局)にある。 「人材派遣を使うことで、テレビ局は制作会社の下で働いている制作スタッフまで直接支配できる」といっていいだろう。 続きを読む 折りたたむ 【特権階級化を当たり前と思うテレビ局員】 ただ、現実はこの図のように単純ではないだろう。同じ現場に制作会社から直に雇われた人間と、テレビ局の子会社からの派遣スタッフが混在しているだろう。 また、下請けにしても、孫請け、ひ孫請けが入り、そのそれぞれに派遣スタッフがいたりいなかったりするだろう。 元々、テレビ局の世界は、テレビ局員という特権階級を作り、下請けという立場の弱い人間を便利に使うことで成り立っている。 テレビ局員の給料が高いのはそのおかげだ。 2000年ころからの数年間、日本中の全上場企業の中で、最も平均給与が高かったのはフジテレビだった。 【コネ入社の無能でも務まる程度の仕事しかしない】 が、このフジテレビは、コネ入社の多いテレビの世界でも、特に多いのはだれでも知っているだろう。 多少内部の状況を知っているから断言するが、一般に考え

テレビ局が人材派遣を兼業する理由①

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TOP 労働者側がどんどん不利になるわけ マスコミと人材派遣 テレビ局の人材派遣兼業① テレビ局員が働かないのは知っていたが、人材派遣会社まで経営しているとは 「こんなすごい人数がいるのか」とびっくりしたのが、テレビ制作現場の派遣スタッフ。 東京都が2010年、常用型派遣を中心に、人材派遣会社、派遣先、派遣スタッフにアンケートをした。回答した派遣スタッフのうち、「放送番組等演出」が6.0パーセント、「放送機器等操作」が、4.4パーセント。 今の時代ならば、ラジオ局はほぼ無視していいだろう。ほぼ「放送」=「テレビ局」。 【全国の放送局の派遣スタッフは15,000人?】 pickupしたのは「派遣元事業所に雇用されている常用型派遣労働者1,900人」の分のデータから。何らかの偏りはあるだろうから、「東京都内の常用型派遣スタッフ全体の約1割がテレビ関連」と考えるのは早とちりだろう。 が、そう考えても意外な多さだ。 で、「社団法人全国放送関連派遣事業協会」とやらのHPをチェックしてみたら、「会員社従業員数合計、約15,000名」なんだとか。 続きを読む 折りたたむ 【30年近く前にすでに、テレビ局は「うちでは番組はやっていません」】 派遣スタッフがいようがいまいが、テレビ局は大昔から他人のふんどしで相撲を取るシステムになっている。 もう、30年近く前の話。テレビ局の入社試験の面接で、「こういった番組を作りたい」といったら、「それでしたら、プロダクション(制作会社)の方に行ってください。うちではやっていませんから」といわれたやつがいた。 テレビ局員はいわゆる“下請け”の上にふんぞり返っているだけで、現場の仕事はまったくやっていない……なんて、今では常識だろう。でも、少しはこういうウカツなやつも残っているのではないだろうか。 【テレビ局自身が人材派遣会社】 で、さらにびっくりしたのが、その下請けに送り込む人材派遣会社をテレビ局自身がやっている。経営上は子会社にしているが、実質社内の一部門のようなものだろう。 番組制作の実務は下請けに丸投げ。で、その下請け会社はスタッフを人材派遣会社に依存。その派遣スタッフは実はテレビ局から送られている。 これって、かなりの問題ありだろう。 というのは、お金の流れを見ればわか

人材派遣の用語④ 抵触日②

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TOP 人材派遣を知る 人材派遣の用語 抵触日② 3年に延長するには、職場の同意が必要。が、無視しているところは珍しくない 「抵触日」が設けられているのは、「あくまで派遣労働者を受け入れるのは、一時的な措置であって、何時までも、“臨時”の者で間に合わせてはいけない」ということです。 が、こういった趣旨を理解しているところばかりとは限りません。 たとえば、私が電子部品製造工場に行った時の「就業条件明示書」では「抵触日」の欄こそあれ、なんら書き込まれていないままでした。 【「反対であったが」3年って、それは確信犯だろ】 労働者派遣法の中では「1年を超える受け入れの場合、職場の過半数を代表するものからの意見聴取が必要」とされています。これをクリアして初めて、3年を限度とする受け入れができるのです。 「3年までの派遣受入期間を定めているとした事業所」のうち…… ①「賛成であったため定めた」=119社(60パーセント) ②「反対であったが定めた」=17社(9パーセント) ③「意見の聴取を行わなかった」=56社(29パーセント) ④「不明」=4社(2パーセント) ……となっています。38パーセントの事業所(派遣先)が規定を無視したことになります。 続きを読む 折りたたむ 【相手のいうままを信じたとしても、この数値】 これは、『厚生労働省2005年労働力需給制度についてのアンケート』からの数字です。データが古いだけではなく、信ぴょう性に欠ける面が多々見られます。 というのは、調査に入ったわけではありません。相手がアンケート用紙に記入したままです。所轄官庁である厚労省に対して都合の悪い話を積極的に書くとは思えません。 また、アンケート自体はとても回収率の悪いものです。アンケートの回答を依頼されたうちの約1割しか協力していません。「まだしも質(たち)のいい連中ですら、この程度」といったところです。 「規定を無視した事業所38パーセント」はよほど控えめな数値と考えた方がいいでしょう。 【抵触日があるのが、「業務」の内容が無視される理由のひとつ】 問題はほかにもあります。 「ソフトウェア開発」「機械設計」「広告デザイン」「放送番組等演出」など専門性の高い業務はこの1年ないし3年の規制を受けません。 いわ

東京都の数値で見る常用派遣② 給料・勤務年数

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TOP 人材派遣を知る 人材派遣の種類 常用型の給料・勤続年数 登録型よりはよほどマシ。が、平均で見る限り、特別な給料はもらっていない で、常用型の給料や勤務の内容を、やはり東京都の出した数値で見てみましょう。 が、この時に注意しなければならないのは、全体の平均値になっている場合です。常用型の場合、「ソフトウェア開発」、「放送番組等演出」、「機械設計」といった専門性の高いものだけで過半数になります。 しかも東京の数字ですので、かなりの特殊性を見た方がいいようです。 【派遣元調査で月給34万円。労働者調査では年収400万円ぐらいが中心帯】 で、派遣元に対する調査で出てきた数値では、平均月収は33.9万円です。うち、基本給は28.2万円、諸手当は5.7万円です。 特殊技能に対する評価としては、決して高くないでしょう。 常用型の労働者に対する年収の調査では、「200~300万円」が21.6パーセント、「300~400万円」28.4パーセント、「400~600万円」31.9パーセント、「600万~800万円」7.6パーセントです。 この4年前の登録型の調査では、中心帯が「200~300万円」の35.3パーセントです。 中心帯で考えると、150万円ぐらいの差といったところでしょうか。 続きを読む 折りたたむ 【放送関係ならば、テレビ局員の3分の1?】 派遣労働者に対する調査では、常用型全体のうち、「放送番組等演出」が6.0パーセント、「放送機器等操作」が4.4パーセントを占めています。 テレビ局員(正社員)は、「全上場企業中でもトップレベルの高給取り。が、実際の現場は“下請け”が支えている。彼らは結婚すると食えなくなるので、若い時だけの仕事になっている」という指摘があります。 東京という特殊なエリアに限ったにせよ、ほかの業種では見られない高率でしょう。 放送関係のみの数値は出ていません。が、全体の中で突出したものでないと仮定し、年齢も考慮しない大雑把な感触としては、テレビ局員の3分の1程度ということになるでしょう。 【約4割が同じ勤務先に3年以上】 また、「現在の派遣先での勤務期間」としては、もっとも多いのが、「1~3年」の30.7パーセント、後は「5年以上」の23.6パーセント、「3~5年」の16.3パ

人材派遣の志望動機の基本は「○○なので全うできると思った」

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TOP 職場に入るまで 登録面接はここに注意 志望動機の基本 派遣先の名前も分からず、仕事内容のろくな情報もない。志望動機など成立しない これから登録面接に行く人は、「なにを聞かれるか」「どう答えるか」で不安になっているでしょう。そのうちの最大のものが志望動機。 が、人材派遣のシステムを思い出してみましょう。志望動機などあるようにはなっていません。 うまく答えられないほうがむしろ自然です。また、正社員の募集と違って、そんなところを人材派遣会社の方でしつこくチェックすることはしません。 もし、具体的な回答を求めてきたら、それは“無茶ブリ”です。「能力のない担当者に当たった」と思って、やり過ごすようにしましょう。 【派遣先の社名もわからないのに、「どうしても御社で働きたい」なんてなるはずがない】 ・社名は分からず、簡単な仕事内容だけが事前情報 そもそも、どこの会社で働くのかが分かるのは、面接の場です。仕事内容も、「電子部品の簡単な検査」とか「医療器具の組み立て」「倉庫内の簡単な仕分け作業」といった程度しかわかりません。 これで、「どうしてもこの仕事でなければ」とはならないでしょう。 おそらくは「家から近そうだったから」ぐらいが本音ではないでしょうか。 続きを読む 折りたたむ ・しかも多くの場合、仕事の内容はウソ もし、「時給1,000円」といった程度の仕事であれば、かなりの確率で、その求人の仕事内容はウソです。 正直に「工場での荷運び」「倉庫内での荷物の積み替え」などと出せば、応募しようとしている人間に、「この程度の時給では、そのような重労働では割に合わない」と敬遠されていしまいます。 ですから、ウソになることを承知で「仕分け作業」「簡単な検査」で募集します。 しかも、これを出すのは人材派遣会社です。派遣先は知らぬ顔を決め込んでいるでしょう。 【正社員の応募だって、本音では「仕方なく、ここ」なのでは?】 ・正社員の面接だって、似たようなもの 正社員での募集ならば、「どこの会社か分かっていない」なんてことはありません。 ただし、仕事内容は事前に限定されている場合と、「入ってからどこに配属するかを考える」となっている場合の両方あるでしょう。 正社員の面接だって、志望動機は果たして本音で言っているかどう

ウソつき派遣元 vs “バックレーターズ” どっちもどっち

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TOP 職場に入ってから 契約期間中の辞め方 ウソつき派遣元vsバックレーターズ 逃げ出すやつを、ヤクザが出てきて脅さなくなったのは、世の中の進歩? 派遣労働の話となると、「どこに行けばいいか」だけではなく、「どうやって契約期間途中で辞めるか」「バックレても大丈夫ですか」といったことも負けず劣らず、話題としてよく見かけます。 実はこのサイトでも、利用者の検索キーワードを見ると、最多は「派遣」。で、次にはなんと「辞める」が来ます!! 【職場状況を隠していたのだから、逃げられるのも当たり前】 少なくとも私が送られた電子部品製造工場を見る限り、即日辞める人がいるの仕方ないと思います。 求人案内、登録面接などでは、その会社についても仕事内容についても、いい加減かつ少量の情報があるだけです。ほぼ目隠し状態で来るのです。実際に作業服に着替えて働き出したら、「だまされた」「しまった」と思うのは当然でしょう。 そもそも、「自分のところの名前で求人を出したら、まともに人が集まらない」「ちゃんと仕事内容を知らせたら、時給が安すぎるのがばれる」ということで、人材派遣会社を利用するところも少なからずあるでしょう。 続きを読む 折りたたむ 【もめごとを逃げるのは、自分にとってもよくないはず】 「でも、“バックレ”はやり方としてまずいなぁ」と思うのも確かです。 「礼儀として」などとは申しません。私の経験でも派遣元にせよ、派遣先にせよ、礼儀を欠いたのは相手が先です(とはいえ、私は当初予定よりも長くいたのですが)。 それよりも、当人の将来に良くない気がするのです。 まず、交渉能力が育ちません。 おそらくは社会人、組織人としての経験は少ないのでしょう。が、そのままでいいはずはありません。 それに「ちょっとだけ様子を見て、場合によってはバックレる」なんてオーラを出していると、相手に強気に出られるだけです。 「いざとなったら、かみついてやる」ぐらいの方が、いくらかは丁寧に扱ってもらえるでしょう。いじめの対象を待っているような鬱憤(うっぷん)のたまっている職場もあるでしょうから。 【相手は突っ込みどころいっぱいなのに、逃げるのはバカらしい】 とくに人材派遣のようにシステム自体に問題があるようなものは、ちゃんと検討すれば、辞めなければな