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- 労働者側がどんどん不利になるわけ
- マスコミと人材派遣
- 新聞社は肝心な時ほど報道機関でなくなる
しょせんは営利企業。マスコミに期待するって、むなしいと思う……
twitter上を見ていると、間違った前提で進んでいる話があると思う。
福島原発の収束作業の労働者が賃金をピンはねされている問題で、「メディアはこれをキチンと伝えろ」というのだ。
メディアとはテレビ、新聞・雑誌を指しているのだろう。内部の人は自らバラさないから、多少は知り合いのいる私が語ってみる。
最初に答え。「絶対無理」
【民放の記者は取材しません。能力もありません】
まず、NHKはさておき、民放の記者は自分ではまともには取材しない。できない。
正確な数値は分からないが、配置している記者の数は新聞社より1ケタ少ないと考えていいだろう。例えば、ある民放では、所在地に隣接する県には中堅1人、若手1人の計2人で全部だ。
で、どうやってニュース原稿を間に合わせるか。基本的に通信社配信のものを使う。それを短くするなど申し訳程度に手を入れる。
もし、現地中継があるならば、あとは冒頭に余分な一言を入れる。それで、自分が取材したような顔ができる。
私の知り合いのテレビカメラマンは、彼らのことを「記者」ではなく、「リポーター」と呼んでいた。その社の内部的にはそれが普通らしい。取材申し訳程度、原稿は通信社のもののリライト……「リポーター」の方が実態に近いと思う。
折りたたむ
【現場中継の記者が全部若い理由】
しかも2年もやったら、異動する。キー局内部の報道部門とは限らない。40歳ともなると、報道部門に残っているのはほんの一握りだ。たいていはそれまでに管理部門に流れていく。
だから、民放のニュースに出てくる記者はみんな若くて、現場中継であたふたする。が、それが「臨場感がある」とでも思っているのか放置されている。
テレビ記者をジャーナリスト、テレビを報道機関と考えるのは間違いだ。よそからもらった原稿を読むだけのところなのだから。
【テレビ局自体が人材派遣会社なのだから、ピンはね問題は自分に跳ね返る】
それ以上に彼らには「賃金ピンはね問題」を扱えない理由がある。
東京や大阪、名古屋などのキー局・準キー局は軒並み子会社に100パーセント出資の人材派遣会社を持っている。自分のところの下請け番組制作プロダクションに現場スタッフとして派遣しているのだ。
これはテレビ局の高給を生み出す仕組みそのものだ。
「人材派遣」「ピンはね」を騒ぎ立ててしまうと、自分の身に跳ね返ってくる。楽して得ている、今のバカ高い給料を手放すことにもなりかねない。
【「言うべきことのためならば死をもいとわない」って、今はどう?】
一方の新聞・雑誌。
肝心な時ほど役に立たないのは、数々の事例が示している。
『いったい、この国はどうなってしまったのか』(魚住昭、斎藤貴男著、NHK出版刊)の指摘に代表されるように、「新聞が戦争を阻止したことは歴史上一度もない」。
たとえば、「朝日新聞社は言うべきことを言うためならば死をもいとわない。そういう気概を持った新聞社です」というのが約30年前の一柳社長(当時)の入社式の訓示だ。新聞に対する大きな圧力がどこからもなかったから、口にできた言葉だ。
そのころは多分、朝日も収入は購読料によるものと広告料によるものがほぼ互角だったはず。が、最近では広告料の収入が最もよかった時の半分しかない。
となると、広告が欲しくて欲しくてたまらない。大広告主は電機、自動車などいずれも派遣スタッフを安く使うことで経営を成り立たせているところばかりだ。
本当は今こそ「死をもいとわない」ところを見せてほしいところだ。が、「広告収入半減」を抱えたままではありえないだろう。「死」ほどには大したことないんだけれど。
朝日でこの程度、ほかは推して知るべし。
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