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募集内容は「原発30キロ内」、実際は「原子炉建屋内」
昨年7月、長崎の四十五歳の男性が、「多重派遣の状況で働かされた」と訴え出ました。
多重派遣も問題です。が、ここはその求人時の内容と実際の仕事の違いに注目してみます。
【出発前にすでに「原発敷地内」にすり替えられる】
まず、求人時の内容です。
仕事の紹介を受けた「前田工業」からは、「原発30キロ圏内のがれき撤去で、日当11,000円」でした。
が、それが「詳細は『福田工業』で聞いてくれ」ということになり、福田工業からの話は「原発敷地内での作業。原子炉建屋内ではない。日当14,000円」となっていました。
福田工業も派遣先ではありませんので、ここですでに二重派遣の形になっています。
折りたたむ
【原発事故から100日の原子炉建屋内の仕事に勝手に変更される】
この人が現地に行ったのは、2011年の7月1日から8月9日です。つまり原発事故発生からわずか100日あまりの時点です。
作業は約20キロの鉛板の運搬。
防護服を着用し、顔にはマスクです。背中にはこの鉛板を入れたリュックサック。真夏にこの姿で、原子炉建屋内の階段を駆け上ったそうです。
ほかには、高濃度汚染水を処理するための配管作業などです。
もちろん、しこたま被爆します。
【原子炉建屋内の作業が日当11,000円】
これで実際に払われた金額は、当初の前田工業が約束した日当11,000円です。これは「原発30キロ圏内のがれき撤去」として提示された金額のままです。
もし、「原子炉建屋内」の仕事と分かっていたら、この金額では承知していないでしょう。
そもそも、「応募すらしていなかった」と考えてもいいでしょう。ハッキリ命の危険や後遺症の心配もあるような内容ですから。
【求人内容のインチキはつきもの】
この仕事の元請け・下請けの構造は非常に複雑です。この男性を支援する日本労働弁護団でも、多重派遣と偽装請負の両方の可能性を考えているぐらいです。
これが世間の注目も高い福島原発にからむ件なので表にも出てきたのでしょう。
この例はあまりに極端です。が、求人内容と実際の仕事の内容が食い違うことは、多くの労働者が経験していることです。
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それでも人材派遣会社を利用するなら
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