正社員も大変だ。派遣社員が見た中小企業~ここがお粗末、製造工場

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人の出入りがないタコツボ状態の地方の中小企業


「どこかいいところがあるのだろう」と期待したのが、全く外れ


正社員として2社経験しました。どちらも東京に本社がある大手企業です。業種としてはサービス系です。

製造業も、中小企業も、人材派遣で初めて経験しました。そういったところを小馬鹿にする気分は正直のところ、いくらかはありました。

ただ、大企業の面倒臭さ、人のいやらしさは知っているつもりです。全く違う世界な分、「こういったところには、こういったところなりのいいところもあるのだろう」といった期待も持っていました。

さらには、「切羽詰まっているんだから、あれこれ注文つけていられない」という気分も同時にあります。

ところが、評価できるところなど、ひとつもありませんでした。

副流煙をしこたま吸わされる


事前に私が一番気にしていたことは、「たばこの煙が充満しているような職場は勘弁して欲しい」でした。とにかく目先のお金が必要なので、仕事内容などは注文をつけようとは全く思ってなかったのです。

これに対し、営業さん(人材派遣会社の担当者)の事前の説明は、「今時、そんな工場はありませんよ、あはははは」でした。

実際には……咥え(くわえ)たばこで作業する人こそいませんでしたが、休憩時間となると作業機械の横でも吸っていました。食事場所となる部屋は野放しで、煙のせいで壁が見えないぐらいでした。

工場の外部の壁の足元には、たばこの吸い殻が散らかっていました。おそらくはそこで吸ってから工場に入る人がいたのでしょう。

「今時ありませんよ」の工場だったのです。

「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」はやったことのある人はいないらしい


壁には標語を書いたようなポスター類がいくつか張ってありました。そのうちの一つは「ほうれんそう(報告・連絡・相談)しよう」というものでした。

行って、2週間ほどで、やってもいない検査をやったことにして出荷するように指示されました。「これはヤバイ」と思い、人材派遣会社の担当者や、その社内の上の方に「ほうれんそう」しました。

社内の上の方は、大慌てでした。ついには、何もなかったことにし、そんな「ほうれんそう」などする私が悪者扱いでした。

おそらくは、それまでに「ほうれんそう」などしたことのある人・それを受けたことのある人はゼロだったのでしょう。

では、あの「ほうれんそうしよう」のポスターは何か?

おそらくは、事務の女の子(と、これまた一時代前の表現をするしかない)あたりが、どこかのマニュアルを参考に、そのまま作ったものなのでしょう。つまり、全く血が通っていない標語なのです。

「情報過疎地」は今でもある


このように、私が持っているイメージからいえば、20-30年ぐらい前の姿そのものでした。

なんで、こんな状況が残っているのか、正直わかりません。「田舎にあるせいで人の出入りが少ない。ほかの企業で育った人を招くこともしていない」「比べる相手も少ないので、古いものがそのまま残る」とは思いますが、これだけが全部ではないでしょう。

ただ、派遣社員にしろ、正社員にしろ、これから仕事先を探す人には、「そんな労働環境の職場もある。ご用心を」というだけです。

そして、最初からこういうところで働き始めると、おそらくはそれが異常ともなんとも感じないままになるでしょう。もちろん、“今どきの工場”で通用する人材に育ちません。

16.ここがお粗末、製造工場
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