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- 労働者派遣法違反。「事前面接」とは
- 「事前面接」は、何が問題か
事前面接をやっているのだから、これはヤクザがやっていた「人入れ稼業」と同じシステム
【もはや堂々と行われている事前面接】
人材派遣では事前面接が禁止されています……といっても、人材派遣の求人に応募した人の中には、禁止されていることをまったく知らない人も珍しくありません。
Twitterでも「明日、企業側(派遣先)の面接。緊張する」といった投稿があり、「それ、禁止されているやつですよ」とRTしたことがあります。案の定、初耳だったようです。
あるいは、どれが事前面接に当たるのかがわからない人や、「禁止は知っているけれど今さら、文句をいってもどうしようもないと」といった人も多いでしょう。一番多いのは、一番最後の「禁止は知っているけれど……」の人かもしれません。
念のためにいっておくと……人材派遣の求人に応募すると、まずは人材派遣会社の面接があります。わざわざ「登録面接」の言葉を使うことがあります。それをクリアしたとして、普通は実際に働き始める前に、一回は派遣先に連れて行かれます。ここでの面接をいいます。
「禁止されている」ということを、人材派遣会社や派遣先がまだしも意識しているときは、「説明」「見学」「顔合わせ」「打ち合わせ」などの言葉を使います。とはいえ、実際にはもはや当たり前になりすぎていて、罪の意識もないことから、素直に「派遣先の面接」と呼ぶことも多いようです。
そこで派遣先の人に会い、その人が「OK」を出す・出さないといった手順になっているのならば、どんな呼び方をしていてもそれは「事前面接」です。
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【事前面接&履歴書送付は、「労働者特定」として禁止】
事前面接同様に、人材派遣会社から派遣先に人を送るときに禁止されていることとして、「履歴書の送付」があります。また、履歴書でなくても、派遣予定者にかんする情報は見せてはいけないことになっています。
事前面接の禁止と履歴書送付の禁止をまとめて、「労働者特定の禁止(派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止)」といいます。もう少しわかりやすくいえば、「どんな人が来るのかを、事前に派遣先は知ってはいけない」ということです。
人材派遣会社が実際に連れて行くのであれ、履歴書などの書類のみであれ、人材派遣会社側が「うちはこういった人間を抱えています。あんたのところ(派遣先)で使いますか、どうですか」とやり、派遣先が「その人ならば、もらおうか」「そんな人だったら要らない。ほかにはいないのか」といったやり取りをしてはいけないのです。
労働者派遣法の上では、人材派遣会社が選んだ人に対し、派遣先側はノーチェックで受け入れなければいけないのです。
もう一度確認しておくと、「事前面接」も「履歴書の送付」も、これに真っ向から違反する、派遣先側のチェックそのものです。
【もともと「人材派遣は労働者供給とは違う」というのが無理】
実はこの、「使いますか」「要る・要らない」の形は、戦前にヤクザらがやっていた「人入れ稼業(労働者供給事業)」そのものです。
まるで、労働者を馬か牛のようにやり取りし、「やめたい」といえば暴力を使ってでも逃げないようにし、給料もピンはねし放題……となっていたものです。
それは戦後まもなく禁止されました。
ですが、「もうしっかりと取り締まるだけの体制ができた」などとして復活したのが、労働者派遣事業(人材派遣)なのです。
ただ、そのまま復活させるわけにもいきません。
そこで……
事前面接をやって、その人そのものを見せ、相手に「要る・要らない」をいわせてしまえば、人間をやり取りしたことになる。だけども、業者側でその人間が使い物になることを保証し、派遣先はそのまま受け取る。それならば、提供しているのは人間そのものではなく、その人の労働力だけ。
……という「労働者特定の禁止」が条件として加えられたのです。
実はこの辺の理屈が、私にもよくわかりません。というよりも、なぜ、この手順を踏めば、「人間そのものを貸し借りやするのではない。人材派遣会社側から派遣先に提供するのは、あくまで労働力のみ」となるのかもわかりません。
また、このことで「派遣先が雇っているのではなく、雇い主はあくまで人材派遣会社になる」ということにもなっています。この理屈も、よくわかりません。
「無理無理の建前なので、意味もへったくれもない」というのが、正直な感想です。
しかも、現実には当たり前に事前面接も履歴書の送付も行われているわけです。
どこがインチキのスタート地点で、どれがその影響かはわかりませんが、人材派遣会社側は、「その人間が使い物になることを保証し……」といったことはしていないことも関係しています。
派遣料金欲しさに、とにかく数を扱おうとします。となると、派遣先も黙って受け取るわけにはいきません。「自分のところで、面接してから」ということになってしまいます。
で、結局、今行われているのは名前だけ別物の「人材派遣事業」であって、中身は戦前にヤクザがやっていた「労働者供給事業」に限りなく近いものになっているわけです。
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