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条件を満たせば、理由なしで退職できるパターンがある
【自分の悩んでいる状況は、ひょっとしたら「法律で退職していい」とされているかもしれない】
「まだ契約期間は残っている。だけども、派遣社員(あるいはパート・アルバイト)をすぐにやめたい」……本気で考え始めた時に、「収入がなくなるのをどうするか」といった問題もあるでしょう。ですが、それを割り切っても目の前に立ちはだかるのが、「退職する理由をどうするか。人材派遣会社(パート・アルバイト先)にどう説明するか」です。
そこでもう一度、自分が退職したい理由をはっきりさせてみましょう。
「事前に聞いていたのと、仕事内容が違う。あまりに大変で時給に見合わない」「職場の雰囲気が悪い。こちらを派遣社員(パート・アルバイト)だからと一段低く見て、圧力をかけてくる」「体の調子が悪い。というよりも、はっきりと病気になった」などが代表的なものでしょう。
中には「契約期間が終わったのに、『後任が見つかるまで』『せめて引き継ぎが終わるまで』と引き延ばされている」といった例も少なくありません。
こういった場合に、頭の中に浮かぶのは、「本当の理由をストレートに話して、相手が認めるかどうか」「ウソになるかもしれないけれど、もうちょっと相手が納得しそうな口実を考えるか」などではないでしょうか。
「実際にそこまでたどり着くのにどうするか」という問題はあるせよ、ここに挙げた状況は全部、法律で「契約期間の途中であっても、退職してよろしい」とされています。「やめるのに十分な理由である」ということです。
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【理由もいわずにやめていいパターンもある】
実はこれも「法律上は……」であって、「相手がすぐにウンというかどうか」という問題は残るのですが、次のふたつのパターンのどちらかに当てはまれば、退職する理由は要りません。口実を考えることもありません。雇い主に退職届を出しさえすればOKです。
A.契約期間が決められていない場合、実際にやめる2週間前までに雇い主に伝える(「退職届を出してから、2週間待つ」と考えても同じこと)
B.契約期間が決められて、それが1年以上になっている。そのうちすでに1年が過ぎた
A は「契約期間が定められていない」ですから、主に正社員の場合です。ですが、非正規雇用でも(パート・アルバイトなど)でもそうなっていれば、適用されます。
Bの「1年」のカウントの仕方は少し注意が必要です。あくまで「契約期間」で見ます。「途中で契約を何回か更新した」という場合は、その最新の契約の範囲内で条件を満たしているかどうかが問題になります。
「実際にはもう何年も同じところで働いている。だけども、今の契約は1年未満のものになっている」「更新してからはまだ、1年たっていない」という場合は、この制度を利用できません。
【どこかに退職のために使える法律があるかも】
A の根拠になっているのは、民法627条第1項です。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
Bは、労働基準法第137条です。
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
このふたつが「理由なしでやめられる」のパターンです。
また、最初に挙げた「ここに挙げた状況は全部、法律で『退職してよろしい』とされています」を保証しているのは、民法第628条です。
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
「損害賠償」の文字に少し腰が引ける人がいるかもしれません。これはわざと相手に被害を与えるようなことでもしない限り発生しません。「お前がやめるせいで、売り上げが減る」などは、言いがかりとして一蹴(いっしゅう)できます。
また、「契約期間が終わったのに……」の場合は何の法律の助けも要りません。「契約」とは、日常的な言葉でいえば「約束」のことです。これだと、「働くと約束したわけでもないのに、働かされている」という状況です。すぐにやめても、“約束”違反にはなりません。
人材派遣会社やパート・アルバイト先などと、「退職は◯か月前までにいうこと」などと、決めてあることがあっても、それは無効です。法律が優先されます。
ただ、特に人材派遣会社などは、「法律ではこうなっています」で、すぐに引き下がらない可能性も高いです。自分での交渉に自信のない人は、都道府県が用意している労働相談の窓口などを利用し、アドバイスをもらいましょう。
多少もめることがあっても、決着するべきところは、法律に定めた内容です。しっかりと頭の中に入れておき、不安になることなく、粛々と手続きを進めましょう。悪縁を切らないと、良縁も来ません。
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