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困った状況にあるならば、「相手(人材派遣会社・派遣先)に責任があるのか、自分に責任があるのか」は、あいまいにしない
【チェックしないといけない理由】
このサイト内でくどいほど繰り返し書いていますが……私が地方の電子部品工場で派遣社員として働いていた5か月ほどの間に、私以外の5人が連続してたった1日でバックレました。
状況から考えて、1人は「いきなりイジメに遭った」、もう1人は「募集時・契約時に聞かされたのと、実際の仕事内容が違いすぎる」と想像しています。あとの3人はわかりません。
その想像通りだったとすると、前者は「パワハラ」として、「民法第628条」を使って即刻やめていいことになっています。後者は「明示された労働条件が事実と相違する場合」として、同様に「労働基準法第15条」が使えます。
相手の方に責任があるのです。バックレなどしてしまうと、自分の側が悪いようなことになってしまいます。劣等感・敗北感も持ってしまったのではないでしょうか。
送り込まれた派遣先に、「なにか違和感がある」「変な状況だぞ」と思うのであれば、それがなんであるのかは、はっきりさせましょう。人材派遣会社・派遣先と交渉しなければいけなくなった時に、それが自分の「持ち札」になります。
【チェック項目】
派遣先の人たちは、あなたが「労働者派遣法」やほかの労働に関する法律を知らないのと同じか、それ以上に知りません。恥ずかしながら、私もそうでした。
信じられないようなめちゃくちゃもまかり通っています。そういった場合の多くは、この「民法第628条」の「やむを得ない事由」に当たるはずです。
・仕事内容
私自身、この電子部品工場に行った時にいきなり、指揮命令者(日々の仕事の指示を出す役割の正社員)から、「来てもらったからには、これだけやっていればいいとういわけではない。何でもやってもらう」といわれました。
募集時は「目視による簡単な検査」だったのが、実際には「機械を使った検査」プラス「力仕事の出荷作業」でした。
派遣社員、パート・アルバイトの側にすれば、「こういう仕事内容ならば、時給◯円でも悪くない」などの判断をして応募したはずです。その大前提が崩れます。
「就業条件明示書」の内容と、実際の仕事内容が違っていれば、もちろん就業条件明示書が証拠となります。
仮に、就業条件明示書があいまいであっても、会社見学などの時に受けた説明・見せてもらった作業と違っていれば、「口頭による契約が成り立っていた」とみなすことができる可能性があります。「話の内容を覚えておく」ではなく、メモをとっておきましょう。
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・仕事場所
私の時は、見学したのは中がごちゃごちゃの旧工場。そこには数日いただけで、その後はまだ全部は稼働しておらず、ガラガラ状態の新工場でした。
営業さん(人材派遣会社の担当者)にいわせると「問題がある」とのことでした。「変更するのならば、ちゃんとこちらに連絡してもらわないと」ということです。仕事内容も変わっていましたので、二重に問題です。
ただし、場所に関しては私自身は「広々としているし、正社員らの顔もあまり見なくていい」とむしろ大歓迎でした。ですが、これはたまたまです。悪い環境の方に放り込まれることもあるでしょう。
同じ敷地内でもNGですから、「通う場所が違う所」は全くのNGです。また、たとえ同じフロア内や工場内でも違う部局に配属されるのもNGです。本来は先の契約書は破棄して、新しい契約を結び直す必要があります。
・正社員らの態度(パワハラ)
初めてきた当日に狂ったように正社員から怒鳴られている派遣さんを見たことがあります。「来て数時間しかたっていないのに……普通はまだ様子を見せてもらう段階だろう。どやされるような失敗をしようにもできないはずだが」と思って横を通り過ぎました。
即日バックレたうちの1人はこの人だったのだろうと思います。
求人広告にはよく「未経験者歓迎」「社員がていねいにお教えします」などの言葉が添えられています。おそらくは人材派遣会社の方で勝手に書いているものです。
正社員側は何の準備も、ろくな情報もなく派遣社員を受け入れることになります。これでギクシャクしないのは、相手がよほどできた人の場合だけでしょう。
「怒鳴られる」まで極端でなくても、「必要なことを教えてもらえない」などもあります。このサイトにコメントを書いてくれた人のように、「ムダ話しないか、便所に行く時間が長すぎるかまで見張られていた」といったパターンもあります。これらは「パワハラ」と考えていいでしょう。
・職場環境
工場勤務の場合に、まず問題なるのは安全性でしょう。
「ケガをしそう」もありますが、薬品類など有害物質を吸わされることもあります。におい程度でも危険なものもあれば、においさえいないようなものもあります。
私がいた電子部品工場では、食事場所になっている休憩室が最悪でした。禁煙意識が全くない会社でしたので、社員らのたばこで向こうの壁が半分見えませんでした。ずっと勤めている女性の従業員も「会社に申し入れたことはあるが、全く変わらなかった」とあきらめ顔でした。
「部屋に入るのは、お茶をもらうためだけ。後は自分の持ち場の機械のそばに戻ってパンでも食う」にすぐになりました。
・休憩時間・勤務時間
労働時間のベースになるのは……
(1)原則として、1日に8時間、1週間に40時間まで
(2)労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩をとらないといけない
(3)休日は少なくとも毎週1日の休日か、4週間の間に4日以上
……の3点です。
この「1日に8時間、1週間に40時間」を超える分は残業ということになります。この残業時間には超えてはいけない限度があります。
1週間=15時間 2週間=27時間 4週間=43時間
1か月=45時間 2か月=81時間 6 か月=120時間
1年間=360時間
これらも守られているとは限らないのですが、もっと現実に問題になるのは、「サービス残業」の類でしょう。「残業をしたのに、ちゃんとその分の給料がプラスされていない」ことをいいます。これはまん延しています。
また、次のようなものの時間も本来は計算に入れなければいけません。給料がついていなければ、このサービス残業と同じです。
(1)掃除など始業時間の前や後の準備・後片付け
(2)打ち合わせや反省会、引き継ぎなど、話だけであっても仕事に関連したこと
(3)作業自体はしていないけれど、いつでも作業に入れるように待機させられている
・給料
「まさか、給料のような企業活動の根幹にかかわる部分でインチキがあるか」といったところですが、実際にあります。先のサービス残業もそのインチキの一種です。
あと、よくごまかされるのは「残業手当」「夜勤手当」です。
私の時は派遣先の人事部長から「日勤も夜勤も同じ時給計算。その分日勤分も高くしてある」との説明がありました。これなど噴飯物です。必ず別に計算しなければいけません。
おそらくは「ちゃんと計算したら、トータルでの支払いが今以上に高くなる」というのに気がついているのでしょう。つまり、労働者側が損をしています。
深夜時間(夜勤時間)として割増が付く時間帯は、22:00-05:00です。
残業時間は先に見たように週単位でもチェックしなければいけません。ですが、最も単純に1日単位で見ると、8時間を超えた分です。
それぞれ通常の賃金の25パーセント増しにしなければいけません。
もし、「時給1,000円」で、正午から深夜0時まで働き、この間1時間の休憩があったならば、労働時間は11時間。夜勤手当が付くのは22-0時の2時間分。残業は3時間です。
なのでこの日の賃金は最低でも11✕1,000円+2✕250円+3✕250円ということになります。つまりトータルは12,250円で、そのうちの1,250円が割り増し分です。
ごまかされる場合、「最低でも25パーセントの割り増しが守られていない」「時間帯を実際とは違った形にされる」「残業代・夜勤手当自体がない」などが考えられます。
【それ以降のチェックも大事】
「派遣されて、しばらくたって、『慣れてきたのだから』といって、仕事の内容が変わる。任される仕事の量が増える」といったことはよくあるでしょう。
ですが、気をつけましょう。程度によりけりです。もし、あなたの大幅な負担増になっているのならば、あなたは損をしています。
その負担増になった分は、ちゃんと時給として反映されるのが本来です。また、仕事内容が変わったり、増えているのであれば、契約書ももう一度作りなおさなければいけません。
また、その新しくやることになった作業はひょっとしたら、人材派遣(労働者派遣)では禁止されている業務かもしれません。
例えばその禁止業務には、「建築」と「警備」があります。人材派遣として扱うこと自体が禁止です。
「工場のラインの仕事で行ったのに、建築現場に回される」「店員が主だけども、店の駐車場が混雑しているときは、その誘導・整備に行かされる」といったことが考えられます。
これで「自分がケガをした」「お客の車に傷をつけた」などのトラブルがあった時は、人材派遣会社は「そんなことは自分のところは承知していない」とそっぽを向くことも可能でしょう。
このようにいくつもの理由から、「契約書の内容から外れたことをやる」というのは、人材派遣では簡単に考えないほうがいいことです。
【だれに対処してもらうか】
これらの問題点は、本来ならば、自分よりも先に人材派遣会社の担当者が気がついてもいいところです。派遣先に送り込んだあとのサポートは彼らの本来の業務ですから。
ですが、現実には……「下手に問題点を見つけてしまうと、自分の仕事が増える」とばかりに意図的にかかわりにならないようにしている……といったことが少なくありません。
そもそも、人材派遣はそのシステム自体にかなりの問題があります。「どうせ人材派遣なんて、こんな程度もの。騒ぐだけ面倒くさい」という考え方もできます。
また、例として挙げたもの見てもらうとわかりますが、「自分が置かれた状況が本当に問題か」といった判断には、けっこう難しいものもたくさん含まれています。
夜勤手当・残業手当にしても、給与明細をしっかりとチェックする必要があります。残業時間の上限にしても、いくつか例外があります。一般の個人がこれらまで理解するのも荷が重いです。
もし、少しでも「がまんならない」「放置するにはデメリットが多すぎる」と考えるのならば、自分一人での解決を図るよりも、相談窓口を利用しましょう。
いくつか候補ありますが、手近なところで考えられるのは都道府県などが用意している労働相談所の類です。あるいは、労働組合にも非正規労働者の雇用問題に積極的にかかわっているところもあります。最も強力なのはここでしょう。
特にバックレまで考えている人は、即座に相談に行きましょう。自分が悪いわけではないのに、逃げるようなことをして後ろめたさを感じるのはばからしいです。
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