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- 派遣先の名前と仕事内容の実態を隠すのも派遣会社の役割
飲食店や介護施設が避けられるのは、賃金のせいではなく、仕事自体が嫌われているからでは?
日経の11/13の記事『飲食・介護で派遣広がる バイトやパート集まらず』を、読んで暗たんたる気分になった。理由は二つ。
①この状況って、間違いなく労働者派遣法違反が続出する。
②記者連中って、なんでここまであっさり書けるんだろ?なんでここまで情報提供者に都合よく書けるんだろう?
【介護職場の不人気は今に始まったことではない】
まず、記事の内容……
飲食店の接客や、介護施設の現場に派遣社員を“活用”する動きが広がっている。
今はではパート・バイトを充てていた。が、時給を上げても人手が確保できない。バイトに比べて割高なのに、大手派遣会社への求人は前年を4~5割上回っている
……というもの。これを“活用”と呼びますか?話の出どころはどうせ、その大手人材派遣会社側だろう。
折りたたむ
【派遣を使っていいのは1年ないし3年】
まず、これから予想される労働者派遣法違反。最大のものは「抵触日」関連。
飲食関連も介護も「専門26業務」ではないから、同じ職場で1年を超えて、派遣スタッフ使えない。これは人を入れ替えても同じ。
ただし、組合など職場の過半数を代表するものが同意すれば、この期限を3年に延ばせる。
が、現実には職場に諮らずに勝手に延ばしているケースも多い。第一、抵触日の規定など、知っている従業員がどれだけいるか。
この規定があるのは、「派遣社員を使うのはあくまで応急措置。本来は直接雇用の人間を置くべきであって、派遣の利用を固定化させてはいけない」という趣旨から。
【抵触日以降に、代わりの人手不足解消策があるのか?】
人手不足の理由として、飲食の方は「都心部での新規出店ラッシュ」と「若者が働き口を選ぶときに、店をえり好みする」といったことが挙げられている。
介護の方は「慢性的な人手不足」「働く側がしがらみのない派遣を選ぶ」といったようになっている。
これらの理由のうち、1年後ないし3年後に改善している可能性のあるのは、「新規出店ラッシュ」だけだろう。
となると、この先もずっと人手不足だろう。「抵触日が来たから」といって派遣の利用をやめるはずがない。第一「バイトがいない」といって、使う側には割高な派遣にしているのだ。代わりになるものはないだろう。
抵触日無視をしないわけがない。そうしないと飲食店や介護施設もやっていけないのは目に見ているのだから。
【派遣の求人では、「知っていたら来なかった」がつきもの】
記事ではほかにも「バイトでは働かないけれど、派遣でならば働く」理由として、「派遣社員の時給のほうが3割前後高いこともある」としている。
この件に関しては直接の関係はないような気がする。賃金の問題であれば、バイト料を上げればいいだけの話だ。上げる余地はかなり残している。
というのは、本当に「3割高い」のであれば、派遣社員にはバイトの2倍近く人件費がかかるからだ。派遣賃金の約1.5倍が一般的な派遣料金なので、1.3×1.5で、1.95倍だ。
やはり先に挙げられていた「えり好み」が一番の理由ではないだろうか。つまり「そこの仕事自体が嫌われている。回避されている」ということだ。業者も「自分のところの名前で出すと応募がない」と気が付いているのだろう。だから、賃金をさらに上げることよりも、人材派遣を使うことが解決策に見えてしまう。
派遣の求人では、「○○キッチン」とか「△△ホーム」なんて名前が出ていない。仕事内容も、「簡単な××です。初心者歓迎」「明るい仲間が働いています」なんてきわめてあいまいだ。
仕事内容が具体的にわからない、それどころか、ウソをつかれている……だから、大変さが分からず、嫌悪感も持たずに人がやってくるのだ。これは人材派遣一般にあることだ。だから「バックレ」も多くなる。
飲食店や介護施設でも、バイトの利用をあきらめて派遣に頼るのは「知っていたら来なかった」ようなところが多いのではないだろうか。
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