- TOP
- 職場に入ってから
- 派遣切り?雇い止めへの対処
- 業績悪化は解雇の理由にできない①
人材派遣会社が倒産間際でもない限り、解雇は不当
派遣契約がまだ残っているのに解雇になる。つまり「派遣切り」です。
この言葉が有名になったのは、2008年末でした。リーマン・ショック後の輸出産業の落ち込みに、大量の労働者が解雇されたのです。
この際に法律上確保されている労働者側の権利を知らなかったために、もらう権利のあるお金ももらわずじまい。出ていく必要もないのに寮を追われた人が続出しました。
【相手側の理由か、自分の方に原因があるのか】
派遣先が労働者を解雇しようとする理由として考えられるのは、
①経営の悪化による人員削減
②人員配置の見直し
③能力・仕事ぶりなど派遣スタッフへの不満。あるいは経歴詐称など、派遣スタッフ側の不正。
……です。
折りたたむ
【派遣先の意向で解雇でも、もともと自分との間には雇用契約がない】
③の場合は、派遣スタッフも責任を負うべき面が出てきます。いわゆる「派遣切り」とは別の問題になるでしょう。
①と②のように相手の都合による場合は、最大限、自分たちの権利を守るようにしなければなりません。
で、この時にまず覚えておくべきことは、「自分は派遣先に雇われているわけではない」ということです。
派遣先とは指揮命令を受ける関係にあるだけです。あなたを雇っているのは、人材派遣会社です。
なので、あなたを解雇するかどうかは、あなたと人材派遣会社の間での問題となります。
【「派遣先の業績悪化 & 派遣契約の打ち切り」ぐらいでは「やむを得ない」とならない】
まず、人材派遣会社があなたを解雇しようと思えば、次の条件を満たす必要があります。
①30日以上前の予告か30日分以上の予告手当の支給(労働基準法20条)
②解雇しなければならない「やむを得ない理由」(民法628条)
「①か②のどちらか」ではありません。両方満たしていないと解雇できません。順番を考えると、「どうしても解雇せざるを得ないとなったのならば、予告手当を払う」といった考え方でいいでしょう。
なので、解雇されるかどうかは、ひとえに「やむを得ない理由」の有無にかかっています。
業界団体である「社団法人・人材派遣協会」の案内では、「派遣先の業績悪化で派遣契約が打ち切られても、直ちにスタッフを解雇をしなければならない『やむを得ない理由』にはなりません」としています。
おそらくは、派遣先が倒産してなくなろうと、人材派遣会社が経営が成り立たないような事態にならない限り、「やむを得ない…」とはならないでしょう。
【契約期間中は休業補償の支払い義務がある】
でも、派遣先と人材派遣会社の間で、「もう要らない」という話が決まったのを、自分の方で押しかけるわけにはいきません。
で、人材派遣会社があなたにやるべき義務があるのは、
①次の派遣先を確保する
②それができないようならば、休業手当を払う
……です。
この休業手当の支払い義務などは、もともと契約していた期間中は続きます。
休業手当は「もらっていた平均の賃金の6割以上」と決まっています。つまり月25万円もらっていたのならば、15万円以上です。休業期間が少なければ日割り計算です。
|
それでも人材派遣会社を利用するなら
「求人内容と実際の仕事内容が違う」などのトラブルは、「どうせその程度のもの」と割り切る
あまりにひどい派遣先に当たったら、法律を使って堂々と退職する。基本となる法律は目を通しておく
非正規(パート・アルバイト、派遣社員)から正社員になるには
非正規雇用は長くは続けない。20代で一度は正社員とならないと、新人教育を受ける機会を逃す
就職サポートは担当者次第。業者の評判がいい悪いには関係なく、ハローワークまで含めて、信頼できそうな担当者を探す
|
コメント
終了になったので、休業手当を貰えば
良かったと後悔しています。
こういう場合は、すぐに労働基準監督署に
行けば良いのでしょうか?
もう6年も前の話になるので今更・・・
ただ、同じ派遣会社から数ヶ月経って
紹介されました。しかし、そこは私の
意向や経験に沿わない派遣先でしかも
派遣の担当者が私の履歴を改ざんした
と言ってました。これも今思うと犯罪行為
だったと私は思います。
《労働基準法第115条(時効)》
��----この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償
その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の
請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する-----
今回はすでに期限切れです。が、以下は同様のトラブルを抱えている人にために。
相談する窓口としては、労基署でいいでしょう。
よく「相談しても、まともに動いてくれなかった」という話もあります。こういった場合の多くは、相談内容が労基署の守備範囲外だからです。
労基署の守備範囲とは、「労働基準法」に係るものだけです。
給料の未払いは、この守備範囲に入ります。ただ、できることは、「法律に反しているかどうかの判断」と「支払いの指示」までです。
「違反がある」ということになっても、相手は支払わない……ということもあります。労基署は強制できませんので、裁判も考えないといけないことになります。
もうひとつの件に関しては、このサイトで繰り返し書いていること、そのままですね……
派遣労働者と派遣先のマッチングは、当然やるべきだ。が、実際にはやっていないことが多い。派遣さんがちゃんと仕事が務まっているかどうかは、派遣会社には全く関心がない。
派遣先の職場でちゃんとやっていようと、無用扱いされていようと、出勤さえしていてくれれば、同じ金額の派遣料金が入ってくる。
だから、派遣さんの希望も、派遣先の要望も全く無視。派遣会社にとって大事なのは、数を送り込んで、可能な限り長く続けさせることだけ
……ということです。「そうではない派遣会社」って、あるのだろうか」ぐらいに思います。