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「派遣先が合わずに、体調が悪くなったのに、辞めさせてくれない」は「強制労働」そのもの
人材派遣関連では「事前面接を許すと、強制労働につながりやすい」といったことで、この言葉が出てきます。
「強制労働」から連想されるのは、小林多喜二の『蟹工船』や、東映のヤクザ映画あたりでしょうか。「現代社会では死語」と思っている人が大半でしょう。
【あなたのその状況、プチ強制労働ではありませんか?】
が、「『辞めたい』と言ったら、人材派遣会社から『契約があるのだから、辞めることはできない』と言われた」「『辞めたら、損害賠償の裁判を起こしてやる』と脅された」というのは、ある意味“軽めの強制労働”です。
「職場環境や仕事内容のせいで体調が悪くなって、病院通いをしている。それでも辞めさせてもらえない」ともなると、“軽め”でもないでしょう。
で、しっかり思い出さないといけないのは、相手が辞めさせてくれないのは、「契約があるから」ではありません。契約は手続き上のことであって、目的でも理由でもありません。
辞めさせてくれないのは、「せっかくうまいこと”はめ込み”、後は何もしなくても、もうけをもたらしてくれる“金ヅル”を失う」からです。
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【史上もっとも有名な強制労働「花岡事件」】
本来の強制労働がどれほど過酷だったのかの一例を挙げておきます。
1945年6月に起きた「花岡事件(はなおかじけん)」です。
花岡(現・秋田県大館市)には銅山があり、強制連行された民間人、戦争での捕虜などのいずれも中国人が働かされていました。
で、「事件」とは、この中国人らの反乱・ほう起を指します。
そこに至るまでの過酷な状況があります。設備の一部である水路の工事で、この10か月前から三度にわたり人員が送り込まれました。合計は986人です。ほう起までに粗末な食事と過酷な労働などで、137人が死亡しています。
また、反乱に対しては、関連企業や地元警察が過酷な鎮圧を行い、多数の中国人労働者を殺しています。
最終的には労働や拷問、虐待のせいで、4割以上の418人が死亡した、とされます。(数値は平凡社『世界大百科事典』などによる)
【今の鹿島建設などが花岡事件の当事者】
朝鮮人・中国人を強制連行し、強制労働につかせるというのは、国の政策として行われたことです。
「強制連行」とは、早い話が「人さらい」です。
今の人材派遣に無理やり当てはめると、「派遣元=国」「派遣先=土木現場・鉱山など」「派遣労働者=強制連行された朝鮮人・中国人」といったところです。ついでに、「求人=人さらい」です。
この“労務者”の最終的な人数として、朝鮮人342,620人、中国人は一ケタ少ないものの38,935人といったデータを敗戦直後の大蔵省(現・財務省)や外務省が残しています。これは国の計画で実行された人数だけをカウントしています。
また、「泰緬鉄道の建設工事に日本軍がイギリス軍捕虜を強制労働に使った」、「シベリア抑留では、ソ連(現・ロシア)が日本軍捕虜を強制労働に使った」として思い出してもいいでしょう。ちなみに映画『戦場にかける橋』は、泰緬鉄道でのクウェー川・架橋工事が題材になっています。
で、これらを「過去の話」と笑えるかどうかです。
銅山は「同和鉱業」が経営し、水路工事は「鹿島組」の担当でした。いずれも「DOWAホールディングス」「鹿島建設」として存続しています。
また、人間の本性など、根っこのところでは数十年単位では変わらないでしょう。
【ワーキングプアはある意味「身分」。迫害に遭う可能性は高い】
花岡事件では「相手は中国人だった」という要素は大きいでしょう。民族差別が当たり前の時代です。自分たちの仲間とはみなしていないのです。
が、日本人でも強制労働の目に遭った人は少なからずいます。そうなった理由には、身分への差別や貧困があるでしょう。
今では身分制度はなくなったことになっています。
が、新しく「ワーキングプア」と呼ばれる貧困層が発生しています。これが「抜け出せない」というものであるのならば、身分と同じでしょう。上の身分の者からすると、下の身分の者への仲間意識は少ないでしょう。
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