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- 日経新聞の180度逆の記事
事実は登録型業者の許可基準緩和。が、常用型業者への基準厳格化にすり替える
日経新聞で、人材派遣に関するおもしろいというか、あきれる記事を見つけてしまった。「人材派遣業、全て許可制に 悪質業者の排除狙う」
以下の内容は電子版の「2013/11/7 2:00更新」更新のものから、内容をつまんでみる。
【届け出だけで、開業できたのが問題だったのは確か】
記事の内容は、まず、「厚生労働省が検討中」として……
常用型派遣を扱う「特定労働者派遣」の業者は今は届け出だけで開業できるのを、厚生労働大臣の許可が必要なように変更する
……としている。
で、この記事を出した日経の見解なのだろうが……
登録型を扱う「一般労働者派遣」の業者は、純資産2,000万円以上などの厳しい要件を満たし、厚労相による許可が必要だ。
……とつづける。問題があるのは常用型の業者だけで、登録型のレベルにそろえることで、解決になるような書き方をしている。
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【この程度で駆逐される悪質業者の数などたかが知れている】
資産2,000万円以上が厳しい要件なのか?
確かに人材派遣会社には個人事務所のような規模の小さいところは無数にある。これらへの圧迫になるのは確かだろう。「中小業者つぶし」といっていい。
「厳しい要件」というのは、ほかには免許更新や講習受講の義務化だ。
つまりは、中小の業者をつぶし、開業には登録型と同じ程度の手順を課すことを指して、「悪質業者の排除狙う」ということになってしまう。
無数の“悪質業者”はむしろ「この程度で済んだ」とほっとすることだろう。
【労働者数ベースでは、特定事業の業者側は完全な少数派】
記者連中の発表文うのみぶりが分かる様子がまだある。
記事の中で「特定事業の事業所数は約6万3000あり、一般事業の3倍以上にのぼる」と強調しているのだ。
が、これはおそらくは記者自身が取材相手にダマされている。
国の発表では、特定事業の業者の扱う派遣労働者数は29,311人(常用型)、一般事業の業者の扱う派遣労働者数1,771,550人(登録型+常用型)となっている(平成22年度)。
売上高は、特定事業の業者が1兆5,534億円であるのに対し、一般事業の業者は3兆7,934億円と2倍以上だ。
つまり、特定事業の業者の方が「3倍以上」なのは事業所数だけの話であって、労働者数ベースでは6分の1、売上高ベースでは半分以下しかいない。
しかも問題なのは、「健全な業者まで排除しないように、資産基準の引き下げなど許可制の基準緩和が今後の課題になる」と結論付けていること。これは日経の意見なのか、厚労省の意向なのかはあいまいに書かれている。
【実態はまた規制緩和。が、記事の内容は規制強化】
日経のこの記事を間違いやダマしまで受け入れて、素直に読むとこういう要約になる。
「派遣労働は特定事業の業者が圧倒的多数で、簡単に開業できる。でも、これを厳しくしようと厚労省がしている。
その代わり、厚労省から厳しく扱われていて、今まできちんとやってきた一般事業の業者の方は、許可の基準を少しやさしくしてあげないと、参入してくる業者がいなくなってしまう」
が、事実は違う。断言する。
「労働者数ベースでいえば全体の7分の1しかいない特定事業の業者はほとんど野放しだったが、ようやく一般事業の業者とおなじ許可制にする。
が、同じく全体の7分の6を占める一般事業の業者には今の順法意識の低さはおとがめなし。それどころか、逆に許可の基準を緩くする」というのが、この改正案だ。
この改正案は来年(2014年)の通常国会に提出の予定という。
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