派遣契約を勝手に更新される。あなたの期間終了はだれにとって痛手か

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無断で更新するのは、派遣先のためでも、あなたのためでもなく、営業さん自身のため

少し前までならば、派遣社員の契約更新の問題は、「派遣元は更新するようなことをいっていたのに、時期が来たら切られた」「いつもどおり更新と思っていたら、そうではなかった」というのが多かったように思います。「派遣切り」の一つのパターンです。

が、最近は逆に、「『辞める。契約は更新しない』と伝えてあったのに、勝手に契約が延長されていた」「知らないうちに更新されていた」といった例が増えています。

どちらであっても、「派遣さんたちは、派遣元の都合のいいように扱われている」ということでは変わりありません。

【あなたが辞めると、「派遣先が困る」よりも、本当は「自分の立場が悪くなる」】

・あなたは派遣元の“金ヅル”

人材派遣会社や営業さん（担当者）にとって、派遣さんはあまりにおいしい“金ヅル”です。

何しろ、仕事内容をダマして連れてきて、送り込んでおきさえすれば、あとは何をしなくても派遣料金が支払われます。

「就業後のフォローも万全」なんて、宣伝している派遣元もあります。が、その「フォロー」の内容って、具体的に聞いたことがありません。

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・勝手に契約更新する理由

今の状況では、この“金ヅル”をコンスタントに手に入れるのが困難なようです。

1人が契約終了して、それで派遣先も「派遣さんを使うのも、これで終わり」となれば問題は小さいでしょう。

ですが、なかなかそうはなりません。派遣先から「次はいないのか」とせっつかれることになります。あまりに長々と間が空くようならば、派遣先から契約を解除されることにもなりかねません。

【正社員と派遣社員・パート・アルバイトの違いを思い出してみる】

・「いなくなったら困る」のは当たり前

相手にだまされるように契約更新する人に多い理由が、「自分がいなくなったら、派遣先が困る」です。

あなたが辞めると、派遣先が困るのは当然です。必要だから、人材派遣を利用していたのですから。

中には、派遣先の指揮命令者や職場の上司（?）から直接「辞めないでくれ」といわれているような人もいます。

・自分の契約について派遣先に話す必要はない

応じる義務はありません。そもそも、派遣先に対し「自分はいつまでの契約である」という話をする必要もありません。

そんなことは、派遣先と派遣元とで話し合うべきことです。

「次の人への引き継ぎがスムーズになるように」は協力ぐらいしていいでしょう。ですが、あなたの方から積極的に買ってまでやることではありません。

・派遣さんらの急な退職は、本当ならば“織り込み済み”

今は「いなくては困る」といわれていても、業績が悪くなったり、仕事量が減ると真っ先に切られます。

しかも、派遣先からすると、正社員に比べ派遣社員のあなたに掛かる人件費は3分の1以下です。

それが非正規雇用です。

まともな扱いをしていないのですから、「急に辞められてしまう」「仕事の質が低い人もいる」のは当然です。この逆ならば、「宝くじに当たったようなもうけもの」です。

・それが嫌だったら正社員を雇え

派遣さん、それにバイトやパートは「いつ辞められても大丈夫なように」と用意しておくのが、職場側の心得です。

これは、バックレのような問題ありのいなくなり方でも、例外ではありません。

もう一度、いっておきます。「非正規労働者はその程度のもの」です。まして、契約満了まで続けたのならば、派遣社員側には全く落ち度はありません。

「派遣さんが抜けたから、利益が減った」「人員のやりくりがおかしくなった」というのは、派遣さんが抜ける備えをしていない、その経営者や管理職に問題があります。

「本来必要な分の人件費は出さず、人材育成のための手間もまったくかけていないのに、結果だけ求めるな。それがいやならば、正社員を雇え」ということです。

【法律上はこうなっている】

・契約終了の場合は、派遣元側にだけ事前告知が必要

「労働契約法」や「厚生労働省告示」では次のようになっています。

①期限の決まっている労働契約は、契約期間が過ぎれば原則として自動的に労働契約が終了する

②3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務している人に対しては、契約を更新しない場合、使用者は30日前までに予告しなければならない

あるのはこれだけです。

つまり、「3回以上……」などに当てはまる人を「更新せずに辞めさせる」という場合には、派遣元（使用者）には、事前に知らせる義務があります。

しかも、もし予告が遅れたら、その遅れた日数分の給料を支払う義務もあります。更新日以降の告知ならば、丸々30日分です。

・自分のほうから辞めるのには、期間が終了するだけでOK

派遣社員の方からは、事前に「辞めます」という必要はありません。 そもそも契約（就業条件明示書）の期日は、「改めて見直しをしない限り、その日で終わりにする」という取り決めです。

相手から話がなく、自分のほうから「お願いします」といっていないのならば、それは「そのまま終了する」ということです。

・派遣元にだけ、告知の義務がある理由

人材派遣会社にだけ事前告知の義務があるのは、まだ更新・継続する意思のある人に対して……

当然、契約更新すると思わせておいて、いきなり「期間が来ましたので終了です」

……という、詐欺まがいのことを当たり前にやってきたからです。

先に挙げた法律はこれを防ぐためのものです。

・ただし、“言質”を取られないようにする

ですから、「なにもいわなかったから、勝手に契約が更新されていた」はありえない話です。あなたがハンコを押しもせず、サインもしていないのならば無効です。それで押し切られてしまうようならば、「その人は相当に社会的熟練度が低い」といわざるをえません。

ただし、「口に出したこと」も気をつけましょう。書類になっていなくても、「口頭の契約が成立していた」と見なされる場合があります。

「どちらにもとれるようなあいまいな返事はやめておきましょう」ということです。

【対策は】

・メモを取る

もう一度確認しておきます。

あなたに対して、契約更新の確認をしてきていないのならば、その新しい契約は無効です。営業さんが契約書を作っていたならば、その契約書自体も無効です。「双方が合意していない」という契約書はありえません。

多くの場合、営業さんはこの「30日前」をめどに、あなたに「更新の意思があるかどうか」を確認してきているはずです。

ですから、契約更新の打診があったらあったで、「何月何日、電話でこういう話があった。自分の方はこう返事をした」とメモをとっておきましょう。

・「聞いていたけど、忘れていた」といわせない方法を考える

多くの人の失敗は、その時の記憶があいまいになっていることです。そのせいで、「どのように断ったか」がはっきりせず、相手に押し切られてしまうのです。

あるいは、はっきりと「更新しない」といってあっても、「聞いていたけど、忘れていた」なんてことになります。ウソでしょうね。なめられています。

相手も社内での自分の評価が下がったり、派遣先に契約を解除されないように必死です。こちらがどういおうと、丸め込んでくるかも知れません。メモもないような、あいまいな記憶に頼っての反論は、相手がやりやすいだけです。

・内容証明を送りつける

中には、2回3回と勝手に契約更新されているような人もいます。

もし、「またやられそう」と思うのならば、今度は事前に手をうちましょう。

内容証明郵便で、更新時期の前に「更新しません」と出しておくのです。書き方・出し方はググればいくらでも出てきます。

これで相手側は「更新しないなんて聞いていない」と言い訳できなくなります。

もちろん、本当は「聞いていない。話をしていない」だけでも契約を無効にする理由になるのですが。

【営業さんはなぜこんなことをするのか】

営業さんの「あなたが辞めたら、派遣先が困る」というのは全くのウソではありません。

ですが、それならばそれで、「契約終了で辞めるあなたの代わりを探す」というのが、営業さんの仕事です。営業さんと人材派遣会社はそれでお金をもらっているのです。

それをやらずに、あなたにしわ寄せするのが、「勝手に契約を更新する」です。

中には……

「今来ている人は終了する」ということが、派遣先に言い出せない。その当日が近づいてから、まだしも無理がいいやすい派遣さんを脅したり、なだめたりして続けさせる

……なんて話まであります。

それ以外には、ウソが見え見えで「今、あなたの代わりを探しています」なんて返答する営業さんもいます。

営業さんにしたら……

代わりを探すよりも、なんとかいいくるめてそのまま残らせておく。グチャグチャいっていても、結局はそのまま働いてくれる。代わりを探す分の手間で、もう1人新しい派遣さんを手に入れる

……というのが、「うまくいった」ということになるでしょうね。

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