- TOP
- サイトの趣旨・サイト主profile
サイトを訪れてくだっさったみなさんへ……法律違反率 66.2%、人材派遣業の世界
人材派遣業界は悪評の多いところです。
取り締まり官庁は厚生労働省(労働局)です。毎年、「指導監督」というチェックに入ります。たいていは6割、7割の確率で労働者派遣法違反が見つかります。
たとえば、平成24(2012)年度に東京労働局から、是正指導を受けたのは、2,011事業所中1,331か所(66.2パーセント)です。
是正指導よりも強力な業務改善命令、事業停止命令といった処分も行われます。が、違反は絶えることがありません。「性懲りもなく」という表現がこれほどぴったりとくる状況は少ないでしょう。
【“無理が通れば、道理が引っ込む”の規制緩和を繰り返してきた行政】
順法意識のない業界なのです。改まることは期待薄でしょう。
元々、日本の人材派遣業は、「事務処理請負」という偽装から始まりました。1966年のアメリカ企業・マンパワーの日本進出が最初です。実態は職業安定法で禁止されている労働者供給事業(人材派遣)なのに、言い換えることでごまかしてきたのです。
これへの行政の対応は、現状を追認することです。取り締まるよりも、規制を緩めることで、違反がないような扱いにしてきたのです。1986年に労働者派遣法が成立し、人材派遣を解禁したのが、何よりもこの現状追認です。労働者派遣法はその後、何度も内容が緩められることになります。
折りたたむ
【問題点が、マスコミに追及されないわけ】
これがマスコミからするどく追及されることはありません。
テレビ業界は積極的に外注化を進め、下請けや派遣にどっぷりと依存しています。
それどころか、どの産業よりも早く人材派遣のうまみに気が付きました。100パーセント出資子会社という形で、自ら人材派遣業を営んで、高収益体制にしっかり組み込んでいます。
もし、何らかの取材があなたのところに来るとします。それが報道系ならば、テレビ局の社員は記者だけで、カメラマンらは全部外部スタッフでしょう。制作系ならば、ディレクターも含めて、ひとりもテレビ局の社員がいない可能性が高いでしょう。
『報道特集・人材派遣の問題点』なんて番組を作ったならば、立場の弱い下請け番組制作会社が、テレビ局の横暴を追及する……という図式になってしまいます。内容を伴ったものができるはずがありません。
新聞社は斜陽産業化し、経営が弱体化しています。広告主への遠慮は隠せないものになってきました。自動車、電器など、いずれも派遣労働者で成り立っている企業が大広告主です。
そうでなくても「肝心な時ほど腰折れになる」というのは、長い新聞の歴史で何度も見せられてきたところです。
【今も規制緩和への圧力が絶えない】
「求人広告と実際の仕事の内容が違う」、「偽装請負の仕事をやらされた」、「派遣切りに遭った」というトラブルはこれからも続くでしょう。
それどころか、流れとしては規制緩和の方向にあります。人件費を下げることができ、いつでも雇用調整のできる労働力を重宝する産業界からの要請に、与党や行政がこたえる形です。
【このサイトの訪問者に望むこと】
このサイトでははっきりいって、人材派遣(労働者派遣)を批判しています。
が、「人材派遣のシステムを使うな」ということではありません。今の社会状況で、そんなことをしたら飢えて死ぬしかない人がたくさん出てきます。
①使うにしても、問題点を知っておいて、少しでも自分が不利にならないようにしてほしい。そういう人間が増えれば、人材派遣業者の対応も変わらざるを得ないはず。
②テレビ・新聞がすでに信用できないものになっている。が、代わりにtwitter、facebookといったソーシャルメディアが出現している。自分自身が情報の発信者となって、人材派遣の問題について語ってほしい。
③社会状況を変えるには、事業者(企業)寄りの政治をする政権ではなく、労働者寄りの政治をする政権に変える必要がある。私たちにできるのは、ひとつは選挙で意思を示すこと。もうひとつは市民運動などに参加・支持して、やはり自分の意思を示すこと。
「以上のことの参考になる情報を提供する場になれば」と願って書いています。
最後にもう一点だけ加えておきます。
事業者が「安く便利に労働者を使う」というのは、確かに目先の利益を上げるのに有効な手段なのでしょう。が、そのせいで疲弊した労働者は、同時に消費者であり、国民です。
多くの企業がこういうスタンスになると、やがて余裕のある消費者はいなくなり、国力も落ちます。すでにその状況にあります。また、労働者としての質だって落ちます。
ほんの少し長い目でみれば、事業者にとってもプラスではないことは明らかです。
| 名前:ピッパ 年齢:50代
会社時代は専門職。同業他社間で一度、転職経験あり。東京、大阪、名古屋、福岡などを転々とする。
早期選択定年で40歳で退職。
社畜になり損ねたおかげで、今はとんだ苦労。でも、後悔はないんだよなぁ、これが。それなりのご都合主義にできているらしい。 |
|
|
当サイトはアフィリエイトプログラムにより運営しております。
サービス・商品の売買などの契約の当事者ではありません。
掲載情報は、ご自身の判断と責任でご利用いただくようお願い致します。 |
|
|
|
(C)ピッパ |
コメント