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摘発例は意外に少ない。が、氷山の一角と考える方が自然
労働者派遣法では「医療」は禁止業務に入っています。が、いくつか「例外」を設けて、許可しています。
もし、その違反があるとするならば、その例外に当たらないのに、人を送り込む場合でしょう。
あとは「偽装請負(偽装派遣)」でしょう。
【偽・紹介予定派遣「ウイングメディカル」の場合】
ウイングメディカルは東京都港区に本社(現在は渋谷区に移転)のある「職業紹介業」「労働者派遣業」「医療・介護のコンサルティング業」などの会社です。
平成21年(2009年)12月に、東京労働局から、業務改善命令を受けています。理由は「職業紹介の予定はないのに、紹介予定派遣として派遣を繰り返していた」です。
念のために解説しておくと、医療関係の場合、契約期間終了時に、直接雇用に切り替える前提で人を送り込む「紹介予定派遣」ならば可、ということになっています。
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【違反項目は全部で13。でも処分は業務改善命令だけ】
この3年半前に、一度「病院などへの労働者派遣を行った」と行政指導を受けています。
で、平成21年の処分の対象になった件では、「一日ないし一か月の契約を繰り返し、18回にわたって締結。述べ64人を川崎市内の病院で薬剤師として働かせた」となっています。
同社は同じときの処分で指摘された労働者派遣法や職業安定法違反は、もう一件の派遣先の分も含めると、全部で13項目になります。
が、この時の処分は改善命令だけです。業務停止命令などは全くありませんでした。
また、現在は何事もなかったように、医師・薬剤師・看護師などの人材派遣や転職サポートを行っています。
【偽装請負「ヒューマンドリーム」の場合】
医療コンサルタント会社「ヒューマンドリーム」(大阪市中央区)が、臨床工学技士を大阪府内の病院に送った件では、大阪労働局が「偽装派遣」と判断し、2か月の業務停止命令を下しています。
2007年9月~2012年4月まで、技師3人(延べ人数で4,257人)、透析機器の操作、患者に針を刺す作業などをしていました。
契約としては「業務請負」です。その契約の形をとるのならば、病院の指揮・監督を受けてはいけません。
が、実際には医師の指揮下にありました。実態としては派遣労働だったわけです。
【どう見ても確信犯の違反常習】
ウイングメディカルの場合、行政指導を一度受けている上に、まったく法令を守っていないことから、確信犯だったと考えていいでしょう。
「ずいぶん行政もなめられたものだ」との印象を持ちます。
また、ヒューマンドリームの場合は、毎日新聞の取材でよその病院でも偽装請負をしていたことが分かっています。同社の社長は「問題があるとは分かっていた」と取材に答えているそうです。
これに対しての処分は下っていません。
厚労省が発表した行政処分の中で、医療関係で見つかるのはこの二件ぐらいです。が、この二社の様子から考えて、これらは氷山の一角で、行政側の摘発漏れは無数にあると考えていいでしょう。
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