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常用型での平均時給は2,009円、派遣先が支払っているのは3,023円
まず最初に承知しておかないといけないのは、「常用型の定義はあいまい」「登録型と実態としては変わらない」という指摘があることです。
今は派遣型のみを扱うのであれば、届け出だけでできます。が、これを常用型と同じく、許認可制に変える話が進んでいます(2014年2月現在)。
つまり以下の数値も、「本当に本来あるべき常用型で雇用された場合のものか」ということでかなり問題があると考えていいでしょう。
【なぜか厚労省は専門26業種しかデータをとらず】
現在発表されている最新の資料が『平成22年度 労働者派遣事業報告書の集計結果』です。
ここに出ている「特定労働者派遣事業における派遣労働者の平均賃金」、つまり常用型派遣の平均賃金は「16,068円」です。
この賃金とは「一日8時間」で算出されています。もし、しっかりとした常用型であるのならば、月給制のところも多いでしょう。時給という考え方はあまりしていないでしょう。が、それでも出すと2,009円ということになります。
で、ほかの気になる数値を探してみるのですが、不思議なことに「専門26業務」だけが調査対象になっています。
このサイトの趣旨からいっても、常用型での「製造業」が欲しいのですが、『報告書の集計結果』にはありません。「販売」「事務」なども同様です。
で、やたら詳しいのが、「専門26業務」です。「ソフトウェア開発」「機械設計」「研究開発」「広告デザイン」といった「専門性の高いもの」「特別の雇用管理を必要とするもの」で、派遣業務の中でも特別な地位を与えられているものです。
たとえば、派遣期間はほかのものは1年または3年の期限があるのですが、これらは今のところ無期限です。
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【元の表では、知りたいことを知ることができない】
で、この26業種のみについてですが、もっとも気になるところを抽出して、表にしてみます。今回は常用型派遣のみ採り上げています。
元のデータは「派遣料金」、つまり派遣先が人材派遣会社に支払った金額と、「派遣賃金」、つまり労働者が受け取った金額です。
で、私自身が興味があったので、時給に換算したり、人材派遣会社を経由するうちにどれだけ目減りてしているのかを計算したり、派遣料金が高い業種は何かが分かるように並べ替えています。
(本当はこういうことは、マスコミがやってくれないといけないんだけどね)
【常用型で、もっとも賃金が高いのは「事業の実施体制の企画、立案」、次が「SE、金融の営業」】
専門26業種・常用型での
平均賃金(平成22年度) | 1日(8時間) | 時給換算
(1日/8時間) | 派遣賃金
÷
派遣料金 | 1-
(派遣賃金
/
派遣料金) |
派遣
料金 | 派遣
賃金 | 派遣
料金 | 派遣
賃金 |
常用型全体(26業種以外も含む) | 24,180 | 16,068 | 3,023 | 2,009 | 66% | 34% |
| | | | | | |
(18)事業の実施体制の企画、立案 | 33,882 | 21,340 | 4,235 | 2,668 | 63% | 37% |
(25)セールスエンジニアの営業、
金融商品の営業 | 32,802 | 20,473 | 4,100 | 2,559 | 62% | 38% |
(1)ソフトウェア開発 | 30,902 | 18,484 | 3,863 | 2,311 | 60% | 40% |
(17)研究開発 | 28,499 | 16,944 | 3,562 | 2,118 | 59% | 41% |
(2)機械設計 | 27,881 | 17,274 | 3,485 | 2,159 | 62% | 38% |
(9)調査 | 26,984 | 17,938 | 3,373 | 2,242 | 66% | 34% |
(23)OAインストラクション | 26,321 | 16,143 | 3,290 | 2,018 | 61% | 39% |
(6)通訳、翻訳、速記 | 25,747 | 15,994 | 3,218 | 1,999 | 62% | 38% |
(12)デモンストレーション | 25,239 | 15,984 | 3,155 | 1,998 | 63% | 37% |
(22)アナウンサー | 24,848 | 16,475 | 3,106 | 2,059 | 66% | 34% |
(20)広告デザイン | 24,153 | 16,440 | 3,019 | 2,055 | 68% | 32% |
(21)インテリアコーディネータ | 24,107 | 17,436 | 3,013 | 2,180 | 72% | 28% |
(3)放送機器操作 | 24,065 | 16,276 | 3,008 | 2,035 | 68% | 32% |
(19)書籍等の制作・編集 | 23,791 | 15,602 | 2,974 | 1,950 | 66% | 34% |
(15)建築設備運転等 | 22,623 | 15,185 | 2,828 | 1,898 | 67% | 33% |
(26)放送番組等における大道具・小道具 | 22,590 | 15,742 | 2,824 | 1,968 | 70% | 30% |
(4)放送番組等の制作 | 21,657 | 15,274 | 2,707 | 1,909 | 71% | 29% |
(11)貿易 | 21,196 | 15,370 | 2,650 | 1,921 | 73% | 27% |
(24)テレマーケティングの営業 | 20,233 | 14,300 | 2,529 | 1,788 | 71% | 29% |
(5)事務用機器操作 | 20,030 | 13,513 | 2,504 | 1,689 | 67% | 33% |
(10)財務 | 19,263 | 13,758 | 2,408 | 1,720 | 71% | 29% |
(7)秘書 | 18,502 | 13,802 | 2,313 | 1,725 | 75% | 25% |
(8)ファイリング | 17,355 | 11,775 | 2,169 | 1,472 | 68% | 32% |
(13)添乗 | 15,728 | 10,755 | 1,966 | 1,344 | 68% | 32% |
(16)受付・案内、駐車場管理等 | 15,086 | 10,682 | 1,886 | 1,335 | 71% | 29% |
(14)建築物清掃 | 12,345 | 8,830 | 1,543 | 1,104 | 72% | 28% |
で、表を見れば一目瞭然ですが、もっとも高い賃金を受け取っているのが、「事業の実施体制の企画、立案」で、時間当たり2,668円。最もマージン(途中の目減り)が高くついているのが、研究開発で、41パーセント。
全体では派遣先は3,023円支払っているけれど、労働者が受け取るのは、3分の2の2,009円ということです。この「全体」とは26業種の全体ではなく、調査をしたもの全体のことです。
【26業種以外のデータはいい加減な古いものがあるだけ】
26業種以外のデータも出した調査は平成14(2002)年と、同17(2005)年だけです。古い上にアンケートの回収率もきわめて古いものです。
なぜ、専門26業務だけ個別の業務で数値を出しているのかは不明です。また、常用型のみならず、登録型も同じ扱いです。
これらを見る限りにおいては、「厚労省は製造業その他に関するまともなデータもないままに、規制緩和などの検討をしている」と疑わざるを得ません。
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