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大甘の新入社員。ダメになっていこうが、派遣労働者の私にはかかわりはない
地方の電子部品工場に派遣労働者として5か月いました。その間にそこの新入社員も来ました。
私がやっている機械による電子基板の加工検査のところにも、ひとり回されてきました。それがS君でした。
【就職先を間違えると、職業人としての意識など全く無縁になる】
この工場自体、田舎にあるのですが、まったく違う遠くの田舎の大学を出て、ここにやってきたようでした。
一緒にいたのは一か月半ぐらいでした。が、みるみる社会人・職業人として悪くなっていくのが分かりました。
普通、学校出たての人間は右も左もわからず、鍛えられて一人前に近づいていくはずです。が、その工場のようにガバナンスもなんもないようなところに来ると、入社時よりもさらに悪くなるというのは、私も意外でした。が、実際に目の前で展開されていました。
折りたたむ
【新人なのに、まともは指導係が周辺にいない】
「新人なので当たり前」ともいえますが、ルーズな仕事ぶりが目立ちました。
周辺にいるのは、使役動物のようにいやいや仕事をやっているような社員と、派遣労働者の私だけでした。
たとえば、電子基板をまとめるベルトをかけるのにしても、ずれた位置に止め、私がひとこと注意しても、「○○さんに、これでいいといわれた」。
この○○さんとは、私に工程飛ばしの未検査出荷を指示した人間です。
この電子基板を加工しているところからまとめて持ってくるのに、軽トラックを使います。
とても雑な積み方をしているので、「これだと崩れるよ」というと、「短い距離だから大丈夫」とすべて楽な方、いい加減な方に合わせるといった状況でした。
で、その運んできたものを検査機にかけようとすると、端がめり込んでいます。軽トラックの中で崩れて、下に打ち付けたのは明らかです。
これは私はもう何も言いませんでした。
【派遣労働者なんだから、相手は新人でもガタガタいう立場にない】
かつて正社員だったころは、私は後輩らにとってうるさ型だったという自覚はあります。
が、ここではひとこと言って、相手がいうことを聞かなければ、もうそれで終わりにしました。
当然、私が派遣労働者だからです。そもそも、ここでは「S君」と書いていますが、面と向かっては「Sさん」と呼んでいました。
いろいろな意味で派遣労働者・非正規雇用の人間というところから一歩も出る気はありませんでした。
その職場環境の改善にも、会社の発展にも、そのS君がまともな職業人になるかどうかも、私の知ったことではありません。
今でもその状況を思い出して、「派遣労働者なんぞ、そんなもの」と思います。仮にがたがた言ったところで、甘い指示だけを受け入れるS君では、派遣労働者のオッサンのいうことなど無視したでしょう。
【派遣労働者を多用すると、当然、組織としての密度が低くなる】
この経験からふたつ思うことがあります。
ひとつは……
派遣労働者をはじめとする間接雇用の人間を多用するような職場は、やはり一つの集団・組織としてのまとまりを欠いている
……ということ。
もうひとつは……
就職活動をする人間は、自分を職業人として育ててくれるところを選ばないといけない。その会社に就職したことで、入社後、時間とともに常識も何もかもどんどん失っていく可能性がある
……ということ。
後者を避けるためには、面接のときに、「新人の育成システムはどうなっていますか」と自分のほうから聞いてみるといいでしょう。
まともなところであれば、新人採用の最中なのですから、向こうにとっても「どう育てようか」は最大の関心事のはずです。とうとうと語ってくれて、それが普通でしょう。
が、この電子部品工場の会社であれば、まず間違いなく、面接官は返事に困るでしょう。このようなところは、就職先を選べるような状態であれば、避けなければいけません。
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