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- 原発収束作業の派遣法違反①
暴力団の関与、ピンはねなど問題続出なのは承知しておくこと
福島第一原発事故の収束作業あるいは除染作業では多くの派遣労働者が送り込まれています。
「暴力団がかかわっている」「給料はものすごいピンはねをされている」といったことが散々話題になっています。
ここでは人材派遣の求人に応じた場合に、この福島原発関連の仕事に行って出くわす可能性のある労働者派遣法違反を考えてみます。
【「人材派遣」「請負」「職業紹介」の区別はつくように】
まず、最初に押さえておくべきことは、「人材派遣(労働者派遣)」「請負」「職業紹介」の違いです。
暴力団、ピンハネだけではなく、放射能の危険性もありながら、応募するぐらいです。まったく余裕もなく求人に応じる人が大半でしょう。これらの区別もほとんどつけていないと思います。
まず、もっともシンプルなのは「職業紹介」です。
この場合は、業者とあなたとのかかわりは、紹介された先で働き始めたときには解消しています。あなたと雇い、給料を出すのも、紹介された先です。
「人材派遣」と「請負」は〝ちゃんとやっていれば〟、雇い主は求人をした業者自身です。給料もここから出ます。
「だれから仕事上の指示を受けるか」がこの両者で異なります。人材派遣では「派遣先」です。「請負」ならば送られた先の人ではなく、「請負業者」です。つまり、求人を出し、あなたを雇った業者です。
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【「偽装派遣」が問題になるのは、労災などのトラブルの時】
で、まず考えられる労働者派遣法違反は、「偽装請負」です。契約上は「請負」なのに、実態として「人材派遣」になっている形です。
つまり、仕事上の指示はあなたの雇い主である請負会社(A社)からだけ受けるはずが、行った先の仕事の場にいるほかの会社(B社)の人間からの支持で働いている形です。
「これが違反とされている理由」は、「責任の所在が分からない」です。
もし、この状態であなたがケガをする、過労で倒れるといった労災に遭ったとします。本来指示を受けてはいけない相手(B社)から指示を受けての事故ですから、その相手(B社)が責任を逃げてしまう可能性があるのです。
【二重派遣どころが、それ以上の多重派遣も実際に見つかっている】
次に「二重派遣」です。人材派遣会社と派遣先の間にもう一社余分に挟まっていて、ここは単にピンはねをしているだけの場合をいいます。
が、実は最初の人材派遣会社だって、派遣先に口利きするぐらいで、あとは全く何もやらないパターンが横行しています。それが「もう一社増えるだけ」ともいます。
が、余分に挟まる会社もピンはねします。派遣労働者の手取りはその分減ります。
また、間に余分に入っているのが2社3社さらにはそれ以上というのも実際にあります。この場合は「多重派遣」と呼びます。
派遣労働者の側からは、何社挟まっているのかが見えないのが普通のようです。「手取りが余りに少ない」ということからピンはねの金額の大きさを疑い始め、「調べてみたら多重派遣になっていた」というパターンが多いようです。
【暴力団も暗躍。人材派遣業者だけではなく、派遣労働者も暴力団員のことも】
労働者派遣法では暴力団関係者が経営に関わっているだけで、人材派遣業の許可が出ないことになっています。
が、現実には入り込んでいます。これはおそらくは個人では見極めは困難でしょう。そもそも「人材派遣会社」と名乗っていない場合もあって、この場合は対処もかなり後手に回るようです。
福島第一原発やその周辺での作業に関わっている人材派遣に暴力団が関与していることも、何件か発覚しています。
たとえば、住吉会系暴力団幹部が100人以上を福島第一原発の収束作業に送り込み、労働者派遣法違反で逮捕された実例も報じられています(2012年5月)。
ただし、この時の逮捕理由は、暴力団ということではなく、作業内容が禁止業務である「建築」だったことです。
また、送られた人間の中には、この組員が含まれていたことが分かっています。
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