正社員にならず(なれず)、パート・アルバイト、派遣社員のままいると何が問題か

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社会人・組織人としての初期教育が受けられないまま、中高年になってしまう

20代の約半数は非正規雇用&失業中


厚生労働省は世代ごとの正規雇用・非正規雇用の比率を公表しています。もちろん、「正規雇用」とは正社員、「非正規雇用」はパート・アルバイト、派遣社員、契約社員などです。

男性(年代、正規雇用%、非正規雇用%)

全体      78.9 21.1
15-19 49.3 50.7
20-24 68.3 31.7
25-29 82.4 17.6
30-34 87.5 12.5
35-39 89.8 10.2
40-44 92.5 7.5
45-49 91.5 8.5
50-54 90.5 9.5
54-59 88.9 11.1
60-64 47.0 53.0
65以上 28.0 72.0

女性(年代、正規雇用%、非正規雇用%)

全体      43.5 56.5
15-19 26.1 73.9
20-24 62.5 37.5
25-29 64.8 35.2
30-34 56.9 43.1
35-39 48.4 51.6
40-44 44.0 56.0
45-49 40.2 58.9
50-54 38.9 61.1
55-59 38.7 61.3
60-64 19.4 80.6
65以上 14.3 85.7

(平成27年 国民生活基礎調査の概況)

20代に注目してみると、男性の場合は、20代の4人に1人、女性の場合は3人に1人が非正規雇用です。

しかもこれは、その時に職に就いていた人たちです。失業中の人は、正規雇用にも非正規雇用にも入りません。

また、これら以外には自分で商売などをしている人(自営業者)は含まれていません。とはいえ、20代で自営業という人はいくらもいないでしょう。となると、「正社員とそれ以外(パート・アルバイト、派遣社員、失業中)」の比率で考えれば、正社員側はもっと減り、非正規&失業中の側はもっと増えるでしょう。

「20代男性の無職は全体の約1割」といったデータを挙げているマスコミもあります。女性がこれよりも状況がいいとも考えられません。大まかに、「正社員とそれ以外(パート・アルバイト、派遣社員、失業中)」は半々といったところでしょう。

非正規雇用化は不況のせいではない


かつては、学生のアルバイトや主婦のパートを除き、学校を卒業したあとも非正規雇用でいるのは、特別な事情のある人だったように思います。

「ほかにやりたいことがある」「本格的な就職は資格をとってから、アルバイトはそれまでのつなぎ」あたりが代表でしょう。

少数とはいえ「どうしても組織になじめない、サラリーマン生活は無理」という人もいたと思います。ですが、こういった人たちの多くは、やがて個人での商売を見つけていきました。

今のように、「正社員になりたくても、募集が少なく、ハードルが高い。なので仕方なしにパート・アルバイト、人材派遣で働く」という状況ではなかったのです。

その証拠は、30代以上の世代の正社員率に出ています。

万が一勘違いする人がいるといけないので、押さえておきますが、決して今の20代が30代40代になれば、この数字のように正社員になる人が増えるわけではないのです。今のままの世の中の流れならば、この比率のまま、上の世代に上がっていくだけでしょう。

なぜ、非正規雇用化が起きたか


非正規雇用化がなぜ進んでいるのかは、いろいろな説明の仕方があると思います。

単に「不況が長かったから」では決してありません。国などが発表する各種の数字を見ても、大企業(特に経団連加盟社)は利益が上がっていないわけではないのです。

それどころか「内部留保」が積み上がっています。言い換えると、「会社側は給料をアップさせもせずに、もうけた金をどんどんたくわえている」です。

このサイトでは深入りしませんが、「政治家と企業経営者がグルになって、労働者の立場をどんどん弱くし、働かせるだけ働かせ、賃金は支払わないようにしている」とだけ指摘しておきます。その一例としては、労働者派遣法が改定のたびにどんどん内容が緩められていることが挙げられます。

「ブラックバイト」「ブラック企業」が登場したのもこの一環と考えていいでしょう。昔だって、一部にはあったかもしれませんが、これほど当たり前に見られるようになったのはここ最近です。

はっきりいって、「正社員として働く場が、企業のもうけ主義のために失われている」というのが今の世の中です。

賃金が安いだけが、非正規雇用のデメリットではない


人材派遣の給料は大まかにいって、正社員の3分の1程度です。「福利厚生が受けられない」「身分が安定していない」などもデメリットです。

それ以外に忘れてはいけないのが、「社会人・組織人として覚えることが覚えられない。そのまま中高年になってしまう」です。

よほどの単純作業でない限り、どんな仕事でも半人前の時期があります。過去の企業は、社内でその半人前に手と時間をかけ、一人前にしたのです。非正規の人間に対しては、ほとんど、あるいは全くそれらはありません。

ずっと、非正規でいれば、そのまま一人前になれないままです。しかも、30代・40代にもなるとおそらくは永遠にその機会は失われます。今の社会状況ならば、「理想をいえば」となってしまのですが、20代で正社員を体験しておかなければいけないのです。

女性にだって怖い非正規雇用


「就職」「正社員」「収入」といった言葉は、女性よりも男性に重くのしかかってくるのは、事実として認めざるをえないでしょう。「選択肢」と呼んでいいのか、「逃げ場」と呼んでいいのかわかりませんが、女性には「結婚」という手があります。

「夫が仕事に出て主な収入を得てくる。妻は家庭にとどまるか、家計を補助する程度の仕事をするだけ」というのは、多少のはやり廃りはあっても、決して少なくない人が受け入れています。

この考え方から行くと、「正社員、それも大企業に勤める相手と結婚すれば、女性として成功組」ということになるかもしれません。

でも……今のように離婚が珍しくなくなると、結婚が前提になっている安定はもろいものです。

もし、結婚生活に問題があると、「我慢してでもこの結婚状態を続けるか」、「自分が働けるような場所もろくになく、あっても非正規雇用の低賃金・身分不安定を受け入れてでも、離婚するか」の選択肢になってしまうのです。

母子家庭の「貧困率は、約半分の48パーセント」という数字がこの厳しさを示しています。

結婚しないままでも、もちろん、「年齢とともに不利になる就職事情」と「女性ならではの不利」の両方が直撃します。
それでも人材派遣会社を利用するなら

「求人内容と実際の仕事内容が違う」などのトラブルは、「どうせその程度のもの」と割り切る


あまりにひどい派遣先に当たったら、法律を使って堂々と退職する。基本となる法律は目を通しておく
非正規(パート・アルバイト、派遣社員)から正社員になるには

非正規雇用は長くは続けない。20代で一度は正社員とならないと、新人教育を受ける機会を逃す


就職サポートは担当者次第。業者の評判がいい悪いには関係なく、ハローワークまで含めて、信頼できそうな担当者を探す

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