- TOP
- 労働者側がどんどん不利になるわけ
- 人材派遣と国・産業界
- バイトに嫌われているから人材派遣
バイトの方が安くて、出来がいい……なのに派遣に頼るのは、不人気会社の証拠?
同じ職場で働く正社員からすると、同じ非正規労働者でも、派遣労働者よりもアルバイトの方を歓迎する声もあるようです。
というのは、派遣労働者を雇っているのは人材派遣会社です。そこの“社員”が出張(でば)ってきている、というのが派遣の方のシステムです。
一緒にいても、「よその人」なのです。現場の人が嫌うのは、そこからくるやりにくさがあるようです。
【派遣はよその人、バイトは自分のところの人】
実際には有名無実化しています。が、建前上としては、「まったく仕事に使えない」「ミスを連発」といったことがあっても、派遣先の方には解雇することもできません。
そうしたかったら、派遣会社との交渉ごとになります。
が、バート・アルバイトであれば、「自分のところの人間」です。後ろにめんどうくさそうな派遣会社がついていることもありません。気に入らなければ遠慮なくドヤせますし、解雇の判断も自分のところでできます。
しかも、会社が支払う人件費ということでは、パート・アルバイトのほうが、派遣労働者よりも安いのが普通です。
つまり、ここまでの話だけであれば、現場の人にとっても、経営者にとっても、パート・アルバイトの方がメリットが大きいのです。
折りたたむ
【派遣労働者への不満は、派遣会社のせいにできる】
ならば、「なぜ、派遣を選ぶのか」です。
私が送られた地方の電子部品工場であれば、次のようなことが考えられるでしょう。
①「パート・アルバイトを雇うためのノウハウを持とう」という考えもないぐらい、経営が放漫化している。
②現場の人間の声が、経営陣に全く届いていないぐらい、組織内の風通しが悪い。
③会社の名前を出すと、応募者がないのが分かっている。仕事の内容がしっかり分かると、時給が割に合わないぐらい安いのもバレる。
①に関していうと、パート・アルバイトならば求人広告は業者に任せるとしても、あとは自分のところでやることになります。面接も社内のだれかが担当しなければならないでしょう。
もし、パート・アルバイトの出来が悪ければ、「ほかにマシなやつはおらんかったんか」と担当者は非難もされるでしょう。
となると、「もっとできる人に、少しでも多く応募してもらわないと」という工夫だって必要になってくるでしょう。つまり、頭を使わないと担当者は務まらないのです。
が、派遣労働者が使えなければ、人材派遣会社をボロクソに言うだけで済みます。社内での「あんなやつ、だれが採用したんだ」といった責任のなすりつけも不要です。
②に関していうと、派遣労働者が来て、うまくいかなければ、「派遣の導入を決定した経営陣の判断ミス」ということになるはずです。
私のいたところは社員数二百数十人で、その気になれば経営陣も隅々まで目を届かせることができるはずです。が、経営陣は現場のことにはまったく興味を持っていませんでした。5人連続で派遣労働者が一日持たずにバックレたにもかかわらず、現場への事情聴取もまったくなかったぐらいです。
【バイトに見向きされない不人気会社には、人材派遣が救世主】
実は一番大きな理由は③だと思っています。
「人材派遣会社の求人募集」と「業者を使わずパート・アルバイトでの求人募集」の最大の違いは、前者は「職場となる会社の名前が出ない」、後者は「自分の会社の名前で募集する」です。
今の時代、パート・アルバイトに行こうと思えば、ネットで最大限その職場の情報を収集するでしょう。うまくいけば、経験者の体験談も見つかるでしょう。「よくしてもらった」「事務の人が愛想がいい」「えらそうにしている社員が多い」「職場が汚い」「半端なく仕事がきつい」などなど……
となると、「あの会社の、こんな仕事か」といって、まったく応募がないようなことだって起きるでしょう。
一方、人材派遣では、派遣会社の面接に行くまで「自分がどこの仕事に応募しているのか」が全くわかりません。
ですから、全く人気のない、人が避けて通るような会社でも人を確保することができるのです。
【自分の会社がバイトに相手にしてもらえているかどうかは考えてみよう】
先に書いたように、「手間がかかる」というのはデメリットです。が、人材派遣会社よりもアルバイトの方が「安くて、使いやすい」はずです。
それを人材派遣会社にばかり頼るようならば、その会社・その職場は「まともに名前を出したら、だれも寄ってこないような不人気のところである」可能性があります。
これは、その職場にいる正社員で、「来る派遣社員、来る派遣社員、ろくなやつがいない」と怒っているような人も、頭の中に入れておいた方がいいでしょう。
|
それでも人材派遣会社を利用するなら
「求人内容と実際の仕事内容が違う」などのトラブルは、「どうせその程度のもの」と割り切る
あまりにひどい派遣先に当たったら、法律を使って堂々と退職する。基本となる法律は目を通しておく
非正規(パート・アルバイト、派遣社員)から正社員になるには
非正規雇用は長くは続けない。20代で一度は正社員とならないと、新人教育を受ける機会を逃す
就職サポートは担当者次第。業者の評判がいい悪いには関係なく、ハローワークまで含めて、信頼できそうな担当者を探す
|
コメント