- TOP
- 私の人材派遣体験
- 私が出会ったトホホな人たち
- 使役動物? T班長
非正規雇用だけではなく、正社員でも過酷な労働はある。考える習慣をなくした工場労働者
このサイトではもっぱら「人材派遣」あるいは「非正規雇用」の問題を扱うようにしています。
が、どうしても考えざるを得ないのが、「正社員ならばそれでいいのか」という点です。
答えは「違う」です。
過労死を典型にして、非人間的な労働の話は正社員でもあったことです。今はそれよりも一段低いところの非正規雇用の問題が大きくなりすぎて、スポットが当たらなくなっているだけでしょう。
【「社畜」ならば、まだしも自分からなっている面はある】
よく正社員のことをあざ笑う言葉に「社畜」があります。が、これはまだしも、「自分から望んで、会社にすり寄っている」といったニュアンスがあるように思います。
世の中には、「自分から」なんてことをやるような余地も与えられず、ひたすら単純作業をやっている人たちもいる……と思わされたのが、このT班長です。
「社畜」よりも、「使役動物」と呼びたい気分です。馬車馬、農耕牛といったイメージです。
折りたたむ
【当たり前の顔して、やっていない検査を「やったことにして出荷」の指示】
まずは職場環境です。
日勤の場合は11時間、夜勤は13時間の二交代制。電子基板にコンマ何ミリの穴をドリルで開けるNCマシンの稼働音がひどく、その担当者には耳栓が配られていました。
10人ほどでひとつの班とし、3班で日勤・夜勤・休みを回していました。4勤2休、6日で1サイクルです。
で、この10人ほどを束ねるのはT班長でした。30歳過ぎ、やせ形。
私に、やってもいない検査をやったことにし、「出荷せよ」と指示したのはこのT班長です。
人材派遣会社の担当者経由で、事の次第は本来の派遣先責任者である人事部長に伝えました。が、全くの無能で動きませんでした。で、最終的にはこの会社のナンバー2である常務取締役に連絡しました。
これで、ようやく関係者の事情聴取が始まり、このT班長も呼ばれました。
で、その直後私に対して話しかけてきました。それまでの4か月弱の間、一緒に仕事をしていながら、ほとんど話らしい話はしたことがなかったのです。
【仕事について考えたことがないから、言葉にできないらしい】
本人は当初は私に、詰め寄るつもりだったようです。
まずは、「なんであのこと(未検査出荷・業務命令違反)を連絡したのか」から話が始まりました。
「仕事としてやっているのだから当たり前でしょ」と私。
「ほかにやり方があっただろう。たとえばだれのことか名前を書かずに報告するとか……」とT班長。
「小学校のホームルームではない」と言いかけたがやめました。理解できないだろうと思いました。
後は「あの次長の下で入社してからずっと、13年もやっている」とか、「給料上げてくれといったら会社がつぶれる」「組合ってどうやって作るんですか」「なんで派遣でやっているんですか」……そのそれぞれが脈絡がありませんでした。
頭がいいとか悪いとかではなく、おそらくは、「自分の仕事についてこれまで考えたことがない」、「言葉にしたことがない」ということの表れと思えました。
【だれもトラブルをトラブルとしてとらえられない会社】
このT班長に限らず、この職場全体が、仕事の内容をよくしようとか、やりやすくしようという雰囲気は全くありませんでした。自発的な行動がまったくないのです。
私がいた5か月の間にこの30人ほどの間から、2人入院患者が出ました。
で、驚いたのがこの入院の2人にしろ、病欠にしろ、会社に「休みます」の連絡をしてこないことです。
入院にしても、このラインの責任者のH次長は何日もたってから人伝に聞いたようでした。自分から電話を入れるでもなく、若手社員に「おれなんか若い時から休んだことないで……」と見当違いの自慢をしていました。
また、「やってもいない検査を書類上だけやったことにして出荷をする」という件にしても、このH次長に対する裏切りのはずです。3班全部がやっていました。
が、H次長はだれもとがめることはありませんでした。逆に私を黙らせようと、「常務に連絡を取るな」と迫ってきたのは、このH次長の話のところで採り上げた通りです。
「この人の下で、13年もいたT班長が、組織人・社会人として何ら身についていないのは仕方ない」「小さい会社にいると、出会う人も少ない。ハズレの上司に当たったら、救いようがない」といったところです。
|
それでも人材派遣会社を利用するなら
「求人内容と実際の仕事内容が違う」などのトラブルは、「どうせその程度のもの」と割り切る
あまりにひどい派遣先に当たったら、法律を使って堂々と退職する。基本となる法律は目を通しておく
非正規(パート・アルバイト、派遣社員)から正社員になるには
非正規雇用は長くは続けない。20代で一度は正社員とならないと、新人教育を受ける機会を逃す
就職サポートは担当者次第。業者の評判がいい悪いには関係なく、ハローワークまで含めて、信頼できそうな担当者を探す
|
コメント