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偽装請負は責任の所在があいまい。死亡事故の補償支払いでもめた例もある
違法な労働者派遣として、しばしばみられるのが「偽装請負(偽装派遣)」です。「請負という名目で行われているが、実態としては人材派遣」ということです。
自分自身がその偽装請負の当事者となっているのに気が付かないまま働いている人も少なからずいるようです。というのは、「派遣である」として雇われていることはなく、請負との違いが分かっていないからです。
【途中の過程は関係なし、完成を約束する契約が請負】
まずは、「請負とはなにか」を知っておく必要があります。
定義としては……
「片方の当事者(請負人)が引き受けた仕事を完成し、もう一方の当事者(注文者)がこれに対する報酬を払う」という契約
……です。
つまり、途中の過程は全く評価しません。たとえば何かの建設工事であれば、材料費や人件費が当初予定の倍になろうが、逆に半分であろうがまったくお構いなしです。
出来上がったビルなり橋が、注文した内容と合っていれば、相手はそれを引き取り、約束した金額が支払われます。
もし、契約通りできていなければ、お金は支払われません。完成できなかった理由が地震や台風などの請負人の責任とは言えないようなものであっても、考慮されません。
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【弁護士や医者の仕事は請負ではなく委任】
よく「請負」と比較の対象になるのが、「委任」です。この場合は、約束しているのは「仕事の遂行」であって、「仕事の完成」ではありません。つまり結果はどうであれ、働いた分は報酬が支払われます。
この形になっているのが、弁護士の裁判での弁護や、医師の治療です。
たとえば弁護士は損害賠償の裁判を任されたとして、料金は着手金と成功報酬の二本立てになるのが一般的です。が、仕事を引き受けた時点で、100パーセントの勝訴を約束しているわけではありません。
また、医師の場合は、治療するという行為に対してお金が支払われます。よほどの医療ミスでもない限り、患者が完治しようが死亡しようが、支払いに違いは出ません。
【発注主が請負の作業者に口をはさむと、その時点で偽装請負】
請負で仕事が進められる時には、請け負った側が発注者から完全に独立した状態である必要があります。
つまり、A工業がB請負会社に機械の製造を発注したのであれば、使っている製造ラインがA社のものであり、場所もA工業の工場内であっても、A工業の人間がB請負会社の作業員に指示をしてはいけません。
B社の作業員は必ずB社の人間からだけ指示を受けなければならないのです。
もし、「こちらが発注した仕事なのだから」と、A工業の人間がB請負会社の人間に指図をすれば、その時点で実態としては労働者派遣になり、「偽装請負」ということになります。
また、これ以外の偽装請負のパターンもあります。「発注主A工業、作業員はB請負会社、仕事の指示はC社」というものです。B請負会社の人間が自分の所属する会社以外から指示を受けているので、請負の定義から外れてしまうのです。
【請負が事実上の派遣になっていないか気を付けよう】
偽装請負がなぜ問題になるかといえば、責任の所在があいまいになるからです。
「A工業の人間の指示で進行が混乱して、出来上がりの質が要求レベルに達しなかった」「納期が遅れた」となると、B請負会社が100パーセントの責任を持つことではなくなってしまいます。
これは労災の場合も当てはまります。
A工業も時として指示を出していた、あるいは実際上はA工業がその労働者を使っている状態だった……となると、A工業とB請負会社で責任のなすりつけ合いが始まることさえあるのです。
ですから、偽装請負の状態にある労働者はとても危うい状態にあるといえます。現実に死亡事故に対して、補償を渋る事実上の派遣先(発注主)も出てきています。
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