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- 抵触日②
3年に延長するには、職場の同意が必要。が、無視しているところは珍しくない
「抵触日」が設けられているのは、「あくまで派遣労働者を受け入れるのは、一時的な措置であって、何時までも、“臨時”の者で間に合わせてはいけない」ということです。
が、こういった趣旨を理解しているところばかりとは限りません。
たとえば、私が電子部品製造工場に行った時の「就業条件明示書」では「抵触日」の欄こそあれ、なんら書き込まれていないままでした。
【「反対であったが」3年って、それは確信犯だろ】
労働者派遣法の中では「1年を超える受け入れの場合、職場の過半数を代表するものからの意見聴取が必要」とされています。これをクリアして初めて、3年を限度とする受け入れができるのです。
「3年までの派遣受入期間を定めているとした事業所」のうち……
①「賛成であったため定めた」=119社(60パーセント)
②「反対であったが定めた」=17社(9パーセント)
③「意見の聴取を行わなかった」=56社(29パーセント)
④「不明」=4社(2パーセント)
……となっています。38パーセントの事業所(派遣先)が規定を無視したことになります。
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【相手のいうままを信じたとしても、この数値】
これは、『厚生労働省2005年労働力需給制度についてのアンケート』からの数字です。データが古いだけではなく、信ぴょう性に欠ける面が多々見られます。
というのは、調査に入ったわけではありません。相手がアンケート用紙に記入したままです。所轄官庁である厚労省に対して都合の悪い話を積極的に書くとは思えません。
また、アンケート自体はとても回収率の悪いものです。アンケートの回答を依頼されたうちの約1割しか協力していません。「まだしも質(たち)のいい連中ですら、この程度」といったところです。
「規定を無視した事業所38パーセント」はよほど控えめな数値と考えた方がいいでしょう。
【抵触日があるのが、「業務」の内容が無視される理由のひとつ】
問題はほかにもあります。
「ソフトウェア開発」「機械設計」「広告デザイン」「放送番組等演出」など専門性の高い業務はこの1年ないし3年の規制を受けません。
いわゆる「専門26業務(政令26業務)」です。
この26業務の中で最も問題が頻出しているのが、「事務用機器操作」でしょう。これは行政用語で、一般的には「パソコンを使ったオフィスワーク」と解釈するようです。
就業条件明示書の上ではこの事務機器操作にしておいて、実際の仕事は事務所内の雑用……ということが後を絶ちません。
雑用係を派遣のまま、いつまでも使い続けるための方便にしているのです。
【本当に抵触日を守っているところはどのくらいあるのやら】
抵触日を超えたら、派遣先は「その労働者を正社員、パート、アルバイトのいずれでもいいから直接雇用に変える」、「直接雇用の人間に置き換える」、「請負業務に変える」といったことが迫られることになります。
この抵触日を把握できるのは、人材派遣会社ではなく、派遣先です。というのは、先に入った派遣労働者が同業他社からの人間である場合もあるからです。
が、この派遣先が、受け入れ期間の延長の手続きさえ取らなかったところが、珍しくない状態です。きちんと抵触日を守っていると考えるのは無理というものでしょう。
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