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テレビ局には、外部スタッフの社員化で成功した例がある。が、忘れ去られているらしい
テレビ局が人材派遣会社を持つことが何が問題か、図にして考えてみる。
一番はっきりと違いになっているのは、単なる下請けならば、制作スタッフの給料は制作会社が支払う。が、人材派遣の形をとると、名目上は子会社とはいえ、実態としてはテレビ局が支払うことになる。
テレビ局 下請け構造図
【番組制作会社で働いているのに、テレビ局が給料の額を決め、人事権も持つ】
つまり、「A君の基本給は20万円、Bさんは25万円」とか、「時間給を1,500円から、1,200円に下げる」というのは、テレビ局の方で決めることになる。
もちろん、単なる下請けの形でも、お金の出どころはテレビ局なのだから、そこから制作会社に手渡す分の増減が、制作スタッフの給料にも影響するだろう。それでも給料の額は制作会社が決めることができる。
しかも、労働者派遣法の定めでは、派遣先(制作会社)は派遣社員(制作スタッフ)の採用・不採用の判断はできない。雇用するかどうかの権限はあくまで、派遣元(テレビ局)にある。
「人材派遣を使うことで、テレビ局は制作会社の下で働いている制作スタッフまで直接支配できる」といっていいだろう。
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【特権階級化を当たり前と思うテレビ局員】
ただ、現実はこの図のように単純ではないだろう。同じ現場に制作会社から直に雇われた人間と、テレビ局の子会社からの派遣スタッフが混在しているだろう。
また、下請けにしても、孫請け、ひ孫請けが入り、そのそれぞれに派遣スタッフがいたりいなかったりするだろう。
元々、テレビ局の世界は、テレビ局員という特権階級を作り、下請けという立場の弱い人間を便利に使うことで成り立っている。
テレビ局員の給料が高いのはそのおかげだ。
2000年ころからの数年間、日本中の全上場企業の中で、最も平均給与が高かったのはフジテレビだった。
【コネ入社の無能でも務まる程度の仕事しかしない】
が、このフジテレビは、コネ入社の多いテレビの世界でも、特に多いのはだれでも知っているだろう。
多少内部の状況を知っているから断言するが、一般に考えられているよりさらに多い。大臣経験者の現職国会議員の娘でも、世間でまったく話題になっていなかった例を知っている。
なぜ、コネ入社を大量に受け入れることができるかといえば、実力を問われるような仕事を、局員はしないからだ。
で、テレビ離れに加えて、リーマン・ショックが起きると何ら手を打てない。今では東京キー局の中での下位が指定席になっている。
【外部スタッフの社員化をしたのが、フジの独走態勢をもたらしたのだが……】
が、30年ほど前、余りに制作部門の現場に外部のスタッフが多く、その連中が恵まれない状況に追い込まれているのに気がついた経営者がいた。鹿内春雄だ。
当時はTBS、日本テレビが二強で、フジテレビはいつも三番手だっだ。
で、この外部スタッフを一気に社員化した。それで勢いづいた。この時できた番組が、『笑っていいとも』であり、『俺たちひょうきん族』だった。かつての二強を抜いて、長らく独走を続けた。
鹿内がフジサンケイグループの「議長」というトップだったのは2年ほど。その前のフジテレビ副社長時代を含めても8年だ。42歳で亡くなった。「グループを私物化した」、「テレビを低俗化した」などの悪評もある。が、今から考えると中興の祖だったのは間違いないだろう。
が、30年弱でフジテレビは完全に遺産を食いつぶした。
今では外部スタッフを使っての番組作りも放棄し、韓国ドラマに頼って総スカンを食らったのは、みんなが見たとおりだ。
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