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たとえ一流大卒でも、卒業後数年たっているのならば、就職先は中小企業に限られる
【大企業のヒエラルキー】
ある程度の規模の会社であれば、「同じ社内に就職するにしても、高卒・大卒など応募できるものが違う」というのは、説明するまでもないでしょう。募集にはっきりと、「大卒以上」「高卒」と書いてあります。
製造業であれば、「大卒以上」は「ホワイトカラー」、「高卒」は「ブルーカラー」のことが多いです。
かなり死語に近くなっていますので説明しておくと、「ホワイトカラー」とはワイシャツなどの白いエリのことで、ほぼイコール「事務職」です。「ブルーカラー」は作業着のエリのことで、こちらは製造ラインなどの現場労働者をいいます。
「大卒以上」の中にも区別があります。会社ごとに使う言葉も内容も違いますし、外に対しては説明もしていないかもしれません。ですが、おおよそのところ「総合職」「幹部候補生」といわれるものがあります。
「将来は重役・社長になる道も開かれている」というものです。
残念ながら、これは既卒者にはかなり狭い入り口です。
応募自体できないのが基本です。「玄関払い」というやつです。最近では少し雰囲気も変わってきて、大企業でも既卒者に窓口を開いているところも出てきました。ですがこれも、卒業後1年か2年と考えましょう。
また、既卒ではなくても、大学浪人・留年などで余分に年をとっている場合も不利です。両方足して、3年を超えるようならば、かなりきついです。
なぜ、こんなことになるかといえば、大企業ではまだまだ「年功序列」が生きているからです。「○歳で係長、○歳で課長、○歳で部長……」と半ば自動的になるものです。実はそれほど簡単ではないのですが、一応はこれを前提に社内の人事計画が作られいます。
大卒(4年制)の場合ならば、22-24歳でスタートを切ってもらわないと、どう扱っていいか迷ってしまうのです。
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【三年以内既卒者等採用定着奨励金】
残念ながら、こんな制度があるということ自体が「既卒者は正社員になりにくい」ということの証明であるのですが、国は「三年以内既卒者等採用定着奨励金」を用意しています。
これは求人を見つけ、正社員になろうという側ではなく、雇う側に対する「奨励金」ですが、それでもざっと内容を見ておくと……
・奨励金の支給対象=平成28(2016)年2月10日から平成31(2019)年3月31日までに募集等を行い、平成31(2019)年4月30日までに対象者を雇い入れた事業主
・支給の条件(1)既卒者等コース=既卒者・中退者が応募できる新卒求人の募集をし、通常の労働者として雇用したこと。募集前3年度間に、既卒者等が応募可能な新卒求人の申し込みまたは募集を行っていないこと
・支給の条件(2)高校中退者コース=高校中退者が応募できる募集をし、通常の労働者として雇用したこと。募集前3年度間に、高校中退者が応募可能な高卒求人の申し込みまたは募集を行っていないこと。
「募集前3年度間に……」というのは、「もともとは既卒者・高校中退社者募集をしていなかったところ」と理解しておけばいいでしょう。
また、「通常の労働者」とありますが、「直接雇用であり、期間の定めがなく、社内の他の雇用形態の労働者(役員を除く)に比べて高い責任を負いながら業務に従事する労働者」とのこと。これぞまさしく「正社員」の定義そのものです。
で、おそらくはもらう側(事業主)にとって最も関心のありそうな支給額は、中小企業の「既卒者等コース」の場合で……
1人目、1年定着後=50万円、2年定着後=10万円、3年定着後=10万円
2人目、1年定着後=15万円、2年定着後=10万円、3年定着後=10万円
……です。
「高校中退者コース」の場合は、1年定着後の金額がそれぞれ10万円プラスされます。
また、それ以外の企業(≒大企業)は1人目の1年定着後のみ支給され、「既卒社等コース」が35万円、「高校中退者コース」が40万円です。
つまり、中小企業がこれを利用して2人採用し、その2人ともが3年以上在籍したとして、既卒社等コースならば105万円、高卒者等コースならば125万円が支給されるだけです。これが最大額で、しかも3年かそれ以上かかってちょっとずつ支給されることになります。
【パート・アルバイト、派遣社員、フリーターからならば、どこを目指すべきか】
はっきりいって、既卒後3年を超えたならば、大企業の「幹部候補生」のコースに乗る可能性は限りなくゼロです。これはたとえどんな有名大学・一流大学卒でも例外ではありません。
最初から中小企業をターゲットにするべきでしょう。
もし、どうしても大企業にこだわりがあるのならば、「中小企業などで経験を積んでおく」「スキルや資格を手に入れておく」といった後に途中採用を探し、転職する手もあります。
ただし、この時に勝負になるのは「どれだけ具体的にアピールできるものが身についているか」です。「手順としてはそうなる」というだけで、決して簡単なことではありません。
そうやって、途中採用された後、幹部候補生のコースに乗ることができるかどうかは、その会社次第です。ですが、「決して多くない」と考えておいたほうがいいでしょう。
もし、本当にアピール出来るだけのスキルがあって、中途採用されたならば、その組織の中での専門職とよばれるようなエキスパートとして活躍の場を求める方が、可能性が広がるかもしれません。
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